ICT教育先進県を襲った「漏えい事件」の手口 不正取得を繰り返した高校生のあきれる実態
高校に深夜、見張りを立てて侵入。情報はインターネット電話で共有……。佐賀県立校の教育情報システムへの不正アクセス事件で、県教育委員会が19日に発表した調査結果から、ICT教育先進県を揺るがす事件の手口が明らかになってきた。
学校に気付かれずに情報の不正取得を楽しむような高校生の言動からは、情報モラルが十分に育まれていない現状や、学校現場のセキュリティー対策の不備が改めて浮かび上がる。
担当教諭から管理者用のIDとパスワード盗み出し…
不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕された無職少年(17)を中心に侵入の手だてを教え合ったり、成果を自慢したりしていた「情報収集会議」。同容疑で書類送検された2年生男子を含め、同じ高校の計7人がメンバーで、ネット電話「スカイプ」でつながっていた。
このうち4人は2015年5月ごろから今年1月ごろにかけ、県立高3校に5回にわたって侵入した。少年の友人が運転する自動車で深夜に移動し、見張り役を立てて高校の敷地内に侵入し、校内無線LANへの接続を試みた。施錠されていない入り口から校舎に忍び込んだときもあった。
書類送検された生徒は、15年5月から今年5月まで、名簿や保守業者の業務日誌などを不正アクセスで集めていた。生徒は県教委の聞き取りに「ICT関連の目新しい情報がないか知るためだった」と目的を明かし、「悪いことをしているのに、日誌では『不具合に対応』とか淡々と処理されているのを面白がっていた」と話しているという。
今回の発表では、7人の在籍校で、不正アクセスに発展した可能性がある別の「事件」も明らかになった。情報収集会議メンバーの生徒1人が学習用のタブレット端末に偽の入力画面を表示し、「画面がおかしくなった」とうそをつき、担当教諭に管理者用のIDとパスワードを入力させる悪質なケースだった。14年度後半の出来事で、無職少年の関与も疑われている。
不正アクセスの被害を受けたある県立高は、ICT教育に関わる教諭を集めた新たな校内組織を独自に立ち上げる方針を示している。校長は「これまでは県教委の指示通りにやっていればいいという意識があった。情報を守り、生徒が巻き込まれることを防ぐために、教員と生徒を対象にしたモラル研修を高校主体で実施する必要がある」と話す。
佐賀新聞LIVE の関連記事
少年逮捕1カ月 体制、問題意識…課題多く
不正アクセス 17歳少年の審判開始
教育情報不正アクセス、7生徒が流出情報共有
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら