スズキ「アルトエコ」が売れなかった理由 ダイハツ「ミライース」に対抗、一部改良で弱点克服

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これまでのアルトエコがミライースの後塵を拝していたのはなぜか。

1つはバリエーションの不足だ。ミライースは主力ブランド「ミラ」の名を冠しているが、ダイハツはミラとは実質的な別車種と位置づけて展開した。新車投入時には、2WDに4グレード、4WDに2グレード(現在は3グレード)をそろえた。

対して、アルトエコは定番ブランド「アルト」の派生の低燃費モデルという位置づけで、2WDの2グレードのみの設定だった。

価格設定も要因だろう。ミライースの価格は最安で79.5万円から。アルトエコは同89.5万円からと、最廉価版を比べれば10万円の差が生じ、お得感というイメージづくりでも差が出た(アルトエコの一部改良モデルは90万円から)。こうしたラインナップや価格設定などの総合的な差が、両者の明暗を分けた。アルトエコが燃費性能でミライースを200メートル上回っただけでは、消費者が食い付く要素にはならなかったワケだ。

「ワゴンR」搭載の最新技術を盛り込み

スズキはアルトエコの一部改良に当たって、昨年モデルチェンジした主力車種「ワゴンR」に採用した各種の低燃費技術を盛り込んだ。ミライースとの燃費は1割近い差をつけることに成功した。また4WDを新たに設定したのも、本気度を感じさせる。軽のように非力なクルマの場合、雪国では4WDは必須。地方でのニーズが強い軽で4WDがないというのは、市場が限られてしまい、意外に致命傷である。

新型アルトエコはラインナップの面では、まだまだミライースには及ばない。それでも燃費で差をつけ、雪国でも売れるようになったことで戦える力はついた。発売2年を迎え、さらなる燃費の向上を進めてくると予想されるミライースの一部改良に先回りして、少しでも差を詰めておきたいというのが、スズキの思いだろう。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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