異変!米原油先物価格が夏に低迷する「謎」 ドライブシーズンなのに価格は逆に下落

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実は、懸念材料は産油量の増加だけではない。前述のように、ガソリン需要期にもかかわらず、ガソリン在庫が減少するどころか、増加していることも嫌気されていると考えられる。米国内のガソリン在庫は6月第2週には2億3700万バレルだったが、7月第4週には2億4100万バレルにまで増加している。

「石油在庫」としての量は減少していなかった

この間、ガソリン需要は日量960万バレルから同980万バレルと堅調に推移していた。つまり、需要以上に生産がおこなわれていることが在庫増につながっているわけである。この間に原油在庫は減少していることから、製油所が原油を精製し、需要を上回るガソリンを生産し、供給していることが、ガソリン需給の緩和につながっているわけである。

つまり、原油在庫は減少しているものの、ただ原油からガソリンに姿を変えただけで、石油在庫としての量は減少していないわけである。

これでは、ガソリン相場が低迷するのも仕方がない。そして、この結果、この時期にガソリン相場が冬場に需要の多いヒーティングオイル相場を下回るなど、普通では考えられないようなことが起きている。それだけ米国内の石油需給には深刻な過剰感があるということになる。

これから夏のドライブシーズンが終わりに近づき、需要の増加は期待しづらい期間に入る。

今後はガソリン在庫がさらに増えることになろう。そうなれば、ガソリン相場の一段安が原油相場にネガティブなインパクトを与える可能性が高まることが想定される。筆者は、現在のガソリン相場の下落はこれらの需給環境をかなり織り込んだと考えているが、楽観はできないだろう。

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