衝撃予測!日本は「2050年の世界最強国」か プレストウィッツが説く「日本復活」の裏側

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――アメリカ軍が沖縄や横須賀を離れるというのはショッキングですね。しかし、従来型の伝統的な防衛政策は、この先、維持することが困難になりそうです。

先にも触れましたが、アメリカ人の多くが、なぜアメリカから遠く離れた西太平洋に軍を展開する必要があるのかと疑問を感じています。日本にいるとわからないでしょうが、日本人が感じているほどアメリカ人は中国を脅威には感じていません。もちろん、距離的に遠くてよく理解していないという面は大きいでしょうが、やはり中国がアメリカに攻めてくるなど、誰も思っていないのです。

したがって、尖閣諸島や南沙諸島といった小さな島のために、アメリカの若者が血を流すことにはほとんどの人が反対するでしょう。中国と戦争になったらどうするのか。そんな小さな島の紛争に介入するのはまったくナンセンスだと思っているのです。

日本の安全保障戦略も変わらざるを得ない

――ただ、中国は「一帯一路」構想の下で、自国の影響力を拡大することに積極的です。小さな島といえども、ひとつ譲ってしまうとドミノ式に勢力の伸張を許してしまう懸念があるのではないでしょうか。

その通りだと思いますが、多くのアメリカ人はそのような認識には至っていません。トランプに支持が集まるように、なぜアメリカはGDPの5%も防衛費に費やさなくてはならないのか、もっと国内の生活を豊かにすることに税金を使うべきだと思っています。GDPに占める防衛費の比率は日本が1%、韓国が2%、ドイツは1%未満。こうした現実を見ると、アメリカばかりが多額の負担をする必要はないのではないか、と感じているのです。

中国がドミノ式に勢力拡張するという懸念は正しいとは思います。しかし、中国の軍事力が増強される中で、それに対抗しようとすればどれだけのコストがかかるかわからない。また、これ以上の軍事支出を増やすことは国民の理解を得ることができない。となると、アメリカは、どこかの時点で、これまでの安全保障の哲学を変えざるを得ず、軍事戦略も大きく見直さざるを得ないという日がやって来ると思います。

それはもちろん、日本の防衛のあり方も変わらざるを得ないということを意味します。

――安倍政権は実際に防衛のあり方を変えつつある。「緊急事態法」を制定し、内閣の判断で自衛隊を動かすことができるようになりました。東京裁判を否定する、というところまで進めようとしているようにも見えますが、これをどう評価しますか。

非常に難しい問題ですね。ただ、安倍政権が安全保障の問題に対して、ポジティブに向き合っているという意味では評価したいと思います。ただ、その手法については注視していく必要はあるでしょう。戦前のように、国防のために「自由」が大きく制限されるような社会になってはなりません。メディアも含めて社会全体が、その点について厳しくチェックしていく必要はあると思います。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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