伊藤忠は、本当に「不正会計」をしているのか

米国空売りファンドの幹部に真意を直撃

なお、本件については、日本市場全体に対する批判では決してない。むしろ本意は逆で、東京証券取引所には多くのすばらしい日本企業が上場されていることは承知している。そして多くの企業が、安倍首相の掲げるコーポレート・ガバナンスの水準を引き上げることや倫理的な会計、透明性の確保といった方針に、従う姿勢を見せている。しかし、われわれの見解では、こういった新たなルールを順守していないため、今回の伊藤忠のように日本市場で不公平に利益を享受する企業も存在する。

伊藤忠商事の岡藤正広社長はこのレポートにどう反論するのか(撮影:尾形文繁)

安倍首相によって掲げられ、多くの市場参加者が日本市場の成長の躍進の鍵となると考えているコーポレート・ガバナンス・コードを守らない企業に対して、多くの企業、投資家、従業員、および、株主が不公平な立場に置かれることになるため、これは日本の市場参加者全てが懸念すべき問題だといえる。

――グラウカスは日本市場に参入したばかりだが、十分な体制・手法で今回の調査レポートを作成したのか。また発表後のマーケットの反響をどのように見ているか。

われわれは将来の空売り投資対象と成り得る企業へ入念な調査を行っている。今回の場合、日本語を母国語とする投資アナリストを含む調査担当チームは、伊藤忠の調査に500~600時間を費やしている。他社のアナリストやポートフォリオ・マネージャーは、通常50~60社を担当しているが、グラウカスでは、6~8銘柄と少ない銘柄に多大な時間と労力を割いており、対象企業をよりよく知ることができる点が強みだ。

非常に好調な活動報告には疑念

われわれの見解に反対する投資家も含め、日本での反応は非常にいいと思っている。日本語・英語を併せたレポートのダウンロード数は8000、さらにウェブサイトのユニーク・ビューも3万7000となった(日本時間7月28日午後12時時点)。7月27日の伊藤忠株は、終値は前日比で6.3%安となっている。

つまり、これが意味することは、多くの市場参加者はすでに、伊藤忠のコーポレート・ガバナンスについて大きな疑念を抱いているものと考える。日本の投資家のツイッターでの声、投資関連ブログの反応をみると、すでに多くの日本の投資家は、弊社がレポートを公表する前から、他の商社と比べて、非常に好調を記録する伊藤忠の活動報告に、疑念を抱いていたように感じる。

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