2014年のとある日の午後2時ころ、京王井の頭線吉祥寺駅で、当時88歳のA氏が対向してきたB氏の曳くキャリーバッグに接触して転倒し、骨折などの傷害を負った。
そこでA氏はB氏に対し治療費や慰謝料などの損害賠償を求めて提訴した。B氏はA氏がキャリーバッグに接触した事実を争ったものの、裁判所はA氏がB氏のキャリーバッグに接触して転倒した事実を認め、総額で103万7871円の損害賠償をA氏に支払うようB氏に命じたのである。
判決はB氏の責任について以下のように述べている。
一般論としても具体的妥当性の点からも至極まっとうな判断である。
負傷した側にも過失を認める
しかし判決は、キャリーバッグを曳いていたB氏が全面的に悪いと断じたわけではなかった。B氏がA氏に賠償するべき金額について、「過失相殺」によりA氏に生じた全損害のうち25%を減額したのである。A氏に生じた全損害のうち、B氏は75%のみ負担すればよいとしたのである。
過失相殺について判決は以下のようにいう。
駅構内ではキャリーバッグを曳いている人がいることは誰でも当然予測できるのだから、A氏も他人のキャリーバッグにぶつからないように相応の注意をせよ、というわけである。
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