駅のキャリーバッグ衝突事故は被害者も悪い

被害者の過失割合は「30~35%」の可能性

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混雑する駅構内ではキャリーバッグが原因の事故が起きることもある(写真:ABC / PIXTA)

2014年のとある日の午後2時ころ、京王井の頭線吉祥寺駅で、当時88歳のA氏が対向してきたB氏の曳くキャリーバッグに接触して転倒し、骨折などの傷害を負った。

そこでA氏はB氏に対し治療費や慰謝料などの損害賠償を求めて提訴した。B氏はA氏がキャリーバッグに接触した事実を争ったものの、裁判所はA氏がB氏のキャリーバッグに接触して転倒した事実を認め、総額で103万7871円の損害賠償をA氏に支払うようB氏に命じたのである。

判決はB氏の責任について以下のように述べている。

「歩行者が、駅構内のような人通りの多い場所でキャリーバッグを使用する場合には、曳いているキャリーバッグが他の歩行者の歩行を妨げたり、それに躓いて転倒させることのないよう注意すべき義務を負うと解されるところ、被告(B氏)はこの注意義務に違反して歩行中に曳いていた本件キャリーバッグを対面歩行中であった原告(A氏)の足に衝突させ、それに躓いた原告を転倒させて本件事故を生じさせたものであるから、同事故によって生じた原告の損害について不法行為責任を負うというべきである」

 

一般論としても具体的妥当性の点からも至極まっとうな判断である。

負傷した側にも過失を認める

しかし判決は、キャリーバッグを曳いていたB氏が全面的に悪いと断じたわけではなかった。B氏がA氏に賠償するべき金額について、「過失相殺」によりA氏に生じた全損害のうち25%を減額したのである。A氏に生じた全損害のうち、B氏は75%のみ負担すればよいとしたのである。

過失相殺について判決は以下のようにいう。

「原告においても、歩行中は前方及び足下に注意し、特に駅構内のような通行人の多い場所では、対向の歩行者が大量の荷物を持っていたり、キャリーバッグを曳いていることは当然予測できることから、原告(A氏)においても、本件事故について一定の過失があることは否めない。そして本件事故の態様及び原告が高齢であることなど本件で認められる事情を総合すると、本件事故における原告の過失割合を25%と認定するのが相当である」

 

駅構内ではキャリーバッグを曳いている人がいることは誰でも当然予測できるのだから、A氏も他人のキャリーバッグにぶつからないように相応の注意をせよ、というわけである。

次ページ過失相殺、割合はどう判断?
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