アイリスオーヤマ、「家電本格参入」の真意 日本の家電は価格が高すぎる

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宮城県角田市のオフィス

――アイリスは、大手メーカーをリストラされた人の採用を増やしている。中途採用の人ともともといた社員とでは考え方に違いがあるのではないか?

当然だ。経験者を採用したのは、家電商品は常にトラブルがあるからだ。お客さんの使い方は千差万別だ。われわれが想定しない使い方をして、クレームが出ることがある。そういうことは経験知で、新規参入メーカーにはそれがない。おばぁちゃんの知恵がないので、60歳を越した人も採っている。アイディアはアイリスで出して、それに彼らのスキルを融合させる。早くよい物を作ろうという考え方だ。

これからも中途採用をするが、作業者はいらない。商品開発で失敗をいっぱい経験してきた人が欲しい。失敗は知恵のかたまりで、ノウハウというのはそういうものだ。この3年間でノウハウがついてきたため、来年の春からようやく白モノ家電に手を付けられる。

「M&Aは得意じゃない。なんでも自分でやる」

――新製品は、「新商品開発会議」で大山社長がゴーサインを出してから製品化が進むということだが、後継者の育成はどう考えているのか?

(新商品開発会議には)毎回出なくても大丈夫。取締役全員出ているし、私は判を押しているだけだ。判断は一か八かでしているわけではないし、私が天才で、なんでもやっているわけではない。皆の前で合意をして、「よし大丈夫だ」と判を捺している。トップとして責任を持っている。次の後継者になったら、次のトップが責任をもつというだけ。売れなかったら私の責任。売れたら開発したひとの手柄。だから皆頑張る。

――東芝が家電部門を切り出すと発表した時に、複数のメーカーの人から「アイリスが狙っている」という話を聞いた。

それだけ期待されている。アイリスは「しょうもないね」という会社ではないということ。

――入札には参加していた?
 入っていない。M&Aは得意じゃない。なんでも自分でやるのが得意だ。

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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