ホンダvs.スズキ、軽トールワゴンで激戦 絶好調「NBOX」を新型車「スペーシア」が追撃

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スズキ「パレット」

直近の月間販売台数では、NBOXが1.7万~2万台、タントもモデル末期にもかかわらず1万~1.3万台なのに対して、パレットは3000~5000台程度にとどまっていた。パレットは日産自動車へのOEM(相手先ブランドによる生産)車が「ルークス」として販売されているが、両者を足しても6000~8000台程度と差を付けられている。軽の人気カテゴリーに育ったこのクラスでの苦戦は、「ワゴンR」に頼らざるを得ないスズキの軽市場でのシェア減退の一因ともなっている。

新型ワゴンRで培った技術を全面投入

スペーシアは、昨年に投入した新型ワゴンRの技術を全面的に投入し、競争力の回復を図っている。車体には超軽量・高強度の鋼材を採用して軽量化、また、減速時のエネルギーをバッテリーに回収し電装品の駆動に利用する「エネチャージ」や、ブレーキ時の時速13キロメートル以下からのアイドリングストップといった機構を採用。大幅な燃費向上を行った。車内空間では、床高を下げるなどして広さを強調。またフロントピラーやダッシュボードのデザインを変更して開放感も高めたものとなっている。

「NBOXは乗用車メーカーならではの良いクルマ。でも後出しジャンケンで負けるわけはありません。NBOX購入はちょっと待ってほしい」と東京都内のスズキ販売店担当者の鼻息は荒い。ホンダの躍進で下克上となった軽トールワゴン市場。真打ちの登場で、ますます激しい火花が散ることになりそうだ。

(撮影:尾形 文繁)
 

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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