米大統領選、争点は「経済とテロ」に絞られた 有権者に好かれていない2人の候補の戦い

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一方、民主党側では、クリントンが連邦最低賃金を15ドルに引き上げることや、世帯年収12万5000ドル以下の家庭に対する州立及び公立大学の授業料を免除するなど、いくつかの項目を政策網領に含めることに合意したことで、サンダースから正式な支持を得た。

サンダースの支持者は政策綱領で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を拒否するよう熱心に働きかけたが、クリントンは、貿易協定は米国の労働者を守るために厳しい基準を守らなければならないという姿勢を保ち、綱領で拒否はせず、今後の可能性を残した。

トランプとクリントンがそろって直面している問題の一つが、有権者から「好かれていない」ということだ。米ピュー・リサーチ・センターが6月末に行った世論調査によると、米大統領候補に対する満足度は過去20年間で最低の水準で、各党の登録有権者の半分以下(民主党は43%、共和党は40%)しか、候補者の選択に満足していない。

また、同じ調査では2者の争いにおいては有権者の51%がクリントンを支持するか彼女に傾倒しており、42%がトランプを支持するか彼に傾倒している。リバタリアン党の候補者ゲーリー・ジョンソンを含めた3者の争いでは、クリントン支持が45%、トランプ支持が36%、ジョンソン支持が11%だ。ただし、全国的な世論調査は必ずしも、正確に大統領選の結果を占うとは言えない。米大統領は一般投票ではなく選挙人投票で選ばれ、州ごとの選挙結果に基づいて決められるからだ。

大統領選の争点は経済とテロ

この調査では、クリントンがトランプより「資格の点で大統領にふさわしく、優れた判断力を持っている」と一般的に考えられていることもわかった。具体的には、登録有権者の56%が資格の点で大統領にふさわしいのはクリントンだと考えているほか(トランプは30%)、「危機においてより優れた判断を下す」のはトランプ(36%)よりもクリントン(53%)だと答えている。

しかし、誠実さという項目ではどちらの候補者も心許ない。「誠実で正直」なのはクリントンだと答えた人は40%だったが、これはトランプ(37%)と大きく変わらない。また、20%がどちらにも当てはまらないと答えた。

また2016年の大統領選でもっとも重要な問題は何かという問いでは、「経済」(84%)と「テロ」(80%)が二大争点となった。どちらが諸問題についてよい働きをするかという問いでは、「人種問題への取り組み」 (66%対26%)、「賢明な外交政策判断」(54%対36%)でクリントンがトランプよりも高い支持を得ている。しかしトランプは、有権者が優先する2つの問題、すなわち「経済状況の改善」(48%対43%) と「将来的なテロ攻撃からの防御」 (48%対43%)において、クリントンよりも評価されている。

さて、一般選挙は7月28日の民主党大会終了後、正式に始まる。その後3カ月間行われるテレビ討論会等では、クリントンとトランプが主張する根本的に異なる政策と価値観が明らかになるだろう。米国の将来と世界での役割についての彼らのビジョンの相違を考えると、11月8日の選挙は第二次大戦後で、アメリカの方向性を決めるもっとも重要な大統領選挙となるかもしれない。

グレン・S・フクシマ 米国先端政策研究所(CAP) 上級研究員

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Glen S. Fukushima

ワシントンD.C.のシンクタンク「米国先端政策研究所(CAP)」の上級研究員。カリフォルニア州出身で、アメリカ合衆国通商代表部で対日と対中を担当する代表補代理や在日米国商工会議所の会頭を務めた経歴を持つ。また、ハーバード大学の大学院生のときには、エドウィン・ライシャワー教授、エズラ・ヴォーゲル教授、デイヴィッド・リースマン教授の助手を務めた。

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