米大統領選、争点は「経済とテロ」に絞られた 有権者に好かれていない2人の候補の戦い

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たとえばほとんどの歴史家は、1960年にジョン・F・ケネディが副大統領候補にリンドン・ジョンソンを選んだことは、南部の州でのケネディの勝利を助け、リチャード・ニクソンを僅差で破る結果につながったと考えている。また、2008年にジョン・マケインはサラ・ペイリンを副大統領候補に選んだことで票を失うことになった。なぜなら多くの有権者が、マケインの後任が必要となった場合、ペイリンは大統領の地位を引き継ぐのにふさわしくないと考えたからだ。

7月16日に トランプはインディアナ州知事のマイク・ペンスを副大統領候補として、正式に発表した。ペンスは、自分のことを「1にキリスト教者、2に保守主義者、3に共和党議員だ」と言っている。彼は、同性愛や同性婚に反対する反ゲイ主義者として有名であるが、トランプとは逆にアメリカの世界における役割や、自由貿易、移民等に関する政策では伝統的な共和党主流派に近い。トランプとペンスはその性格、政治思想、ライフスタイルが、かなり異なるため、今後の選挙活動中にどこまで一体感を持って、キャンペーンできるかが課題となるだろう。

そもそも、トランプの副大統領候補者リストは限られていた。それは、トランプの考え方が伝統的共和党主流派と大きく異なっているだけでなく、大統領選に勝つ見込みも低いことから副大統領のポジションには興味がないと明言していた共和党員がいたからだ。ペンスは知事としての再選が困難と見られていたため、トランプに副大統領候補に選ぶようかなり働きかけをしていたと報道されている。また、当選すればトランプは、1953年から1961年に大統領を務めたドワイト・D・アイゼンハワー以来の、政治経験がまったくない大統領となる。したがって、トランプとしては、ペンスの知事就任前の12年間のワシントンD.Cでの下院議員の経験や人脈が魅力だったと考えられている。

クリントンの副大統領候補になるのは?

一方、これまでに、クリントンの副大統領候補として名前が挙がっているのは、トーマス・ペリッツ労働長官、フリアン・カストロ住宅都市開発長官、ザビエル・ベセラ下院議員、ティム・ケイン上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員、シェレット・ブラウン上院議員、コリー・ブッカー上院議員などだ。考慮されるのは、年齢、人種、出身地や活動地域、クリントンとの相性などの要因だ。

名前が挙がっている中では、ウォーレン、ブラウン、ブッカーは高い人気を誇っているものの、選ばれる可能性は低い。なぜなら、立候補に伴い上院議員を辞めた場合、後継候補を彼らが選出された州の知事が選べることになっているのだが、彼らの州の知事は共和党員のため、民主党が議席を奪われる可能性があるからだ。

それぞれの党大会は、トランプとクリントン双方にとって党を結束させる機会となるだろう。ただしトランプの場合は、共和党候補となるために必要な代議員数を獲得したものの、政治的立場、政治的思想と政治スタイルが主流派とは大きく異なるため、党内に反対派が残ることは避けられない。

ジョージ・W ・ブッシュ元大統領やミット・ロムニー元共和党大統領候補など共和党主流派の多くはトランプを支持していないため、党大会にも出席を拒否している。それどころか、共和党政権の高官を務めたハンク・ポールソン元財務長官、ブレント・スコウクロフト元米大統領補佐官、リチャード・アーミテージ元国務副長官らにいたっては、民主党のクリントンを支持することを公式に認めている。

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