竹中直人「いいものは理屈を超える」 「監督・竹中直人」が語る役者哲学

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――スタッフやキャストにやる気を出させる環境づくりというのは、サラリーマン社会に通じるところがあるように思われます。竹中監督が役者にやる気を出させるために心がけていることは?

竹中直人(たけなか・なおと)
1956年横浜生まれ。俳優、ナレーター、ミュージシャンなど幅広い分野で活躍。1983年に「ザ・テレビ演芸」でグランドチャンピオンとなりデビュー。コメディアンとして人気を博す。その後は役者として数々のテレビ、舞台、映画に出演し、1991年の映画『無能の人』で監督デビュー。映画監督としても脚光を浴び、今作を含め全7作品でメガホンをとっている。

それは見つめることですよ。役者を愛することです。自分が愛されていると思うからこそ、役者はそれに応えようとする。その愛情がなければ誰も動かない。僕はずっとあなたを見続けていますよ、という思いで撮っています。もちろんそれがうるさすぎてしまってはいけないので、そこが魅力だなと思ったら、一言、大切なシーンの時だけボソッと言ったりすることもあります。

僕にとっては脇役も主役もない。僕は「脇」と呼ぶのは嫌いです。画面に役者が出てくれば、その人たちが主役だという思いで撮っています。

だから、少しでも役者が楽しかったと思ってもらえたら嬉しい。やはり竹中組に参加して「いや、参ったよ」と思われるよりは、「楽しかったな」という気持ちで帰ってくれた方が嬉しいですもんね。それはスタッフにしてもそうだと思います。二度と竹中組には入りたくないとか思われたら、嫌ですもんね。

みんなが本当にいい具合に、現場の日々を過ごしていくことだけをまず中心に考えるんです。そのためには、撮影の基本となる台本がしっかりしていないと、現場で揉め事が起きます。だからとにかく無駄なことを排除して台本を作っていきます。

津田寛治など豪華俳優陣が集った。写真はメイキング風景(C)吉本興業
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