サイゼリヤ、コンビニの商品力に学ぶ 千葉新工場に漂う濃厚な香り

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「あれはショックだった」――奔放な発言で知られる堀埜一成・サイゼリヤ社長に衝撃を与えたのは2009年に大手コンビニチェーンが発売したロールケーキ。そのロールケーキは大ヒット商品となり、他のコンビニチェーンが類似品を続々と投入。いまやコンビニスイーツは強力な来店動機になっている。

堀埜社長は売れ行きに衝撃を受けたのではない。コンビニと外食の圧倒的な商品力の差を見せつけられたのだ。

そのロールケーキには生乳由来の生クリームが使われていた。生クリームは品質管理が難しく、外食では植物性由来のホイップクリームに頼るしかない。コンビニが生クリームを使用できたのは物流体制と商品開発の賜物だ。

店舗への配送は、サイゼリヤなど大手外食チェーンでは1日1回が原則だが、コンビニは店舗数が1ケタ多いにもかかわらず、1日3回だ。

また、コンビニは取引先のベンダー業者と連携して商品開発を進めており、たとえば、かつてはおいしくない弁当の代名詞だったコンビニ弁当も、品質が急激に改善している。とどめが、外食では商品化できなかったロールケーキだった。

コンビニへの危機感から最大規模の新工場

「このままでは負ける」――。危機感を抱いた堀埜社長は従来の調理工程刷新による、商品力の底上げを決意した。堀埜社長が何度も建設計画を練り直した末に具現化したのが、この1月14日に竣工し、23日に開所式が行われた千葉工場(千葉市、写真)だ。

サイゼリヤにとって国内5カ所目の千葉工場は10年ぶりの新工場となる。自動倉庫を併設するため、建物面積は7700平方メートルと同社最大規模だ。スープやソースなどの加熱食品を生産し、今年8月までに東京都、千葉県の300店舗へ配送する計画だ。投下資金50億円は同社の平均的な年間設備投資額に匹敵する。

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