サイゼリヤ、コンビニの商品力に学ぶ 千葉新工場に漂う濃厚な香り

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目玉は刷新された加熱加工ラインだ(写真)。足を踏み入れるとトマトを煮詰めた濃厚な香りが漂ってくる。この香りこそが、“切り札”だ。

外食のトマトソースは、メーカーから買うか、自社で作るかのどちらか。大手外食チェーンはセントラルキッチンと呼ばれる仕込み工場を自社内に持っており、数百食分を一度に生産することでコストを削減している。サイゼリヤもこうした製法でトマトソースを含めさまざまな食材を作っている。

しかし、この製法では加熱にむらがでるので、味が均一にならない。特にトマトソースは煮込み過ぎると独特の金属臭が出てしまう。

そこでサイゼリヤは製造方法を改善。トマトを品種、大きさ、酸味、甘みごとに分類し、それぞれの特徴に合わせて熱を加えることのできる設備を導入し、今までとはまったく違うトマトソースを作り上げた。

2月中に関東全店で新トマトソースに切り替え

実際に記者が調理工程に入ると、金属臭さはなく、甘く濃厚なトマトの香りが漂ってくる。調理技術を変えることで、素材の風味を生かしたレストランらしい味を実現し、コンビニや同業との差別化を図る狙いだ。

サイゼリヤは千葉工場産の新トマトソースを順次増やし、2月中には関東全店で切り替える。トマトソースの生産を軌道に乗せてから、スパゲティソース、ハンバーグソースにも新たな製造手法を導入する。その後は築15年が過ぎた埼玉県の吉川工場など各工場の設備を改修し、全店での品質を改善する計画だ。

開所式で堀埜社長は「今日が商品変革のスタートの日だ」と宣言した。しかし、ライバルも進化を止めることはない。変革のスピードがカギを握る。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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