スタイリスト「地曵いく子本」が"刺さる"理由 ズバズバ口調の「おしゃれ指南本」は写真なし

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――著書が売れている要因を自己分析すると?

江戸っ子の性格もあって、自分が思うことを誰にでもズバズバ言っている。そして、いろいろな人に聞いたうえで、みんなが何となく思っていたことを書いているからでは。

たとえば、女性誌で1週間などのコーディネートを誌面で見せる企画がある。「コーディネートの呪い」と題して、そんなに多くのバリエーションは必要ないと否定的なことを書いておきながら、私、これが天才的にうまいんですけど(笑)。その私でさえ、たまには一つや二つ、おかしいコーディネートが出てくる。だったら、1週間のうち同じのをもう一度着たほうがいいじゃないと思っていて。

周りに聞いても、「毎日違う格好をしなければいけないのが苦痛」「買ってしまった服をどうしたらいい」「断捨離後にどんな洋服を買えばいいの」といった悩みが多かった。そういった悩みがあるという裏を取ったうえで、思っていたことを書いている。実は、男性読者も多い。私の理論を参考にしながらCDを処分したりしているようです。

また、あるとき内輪で出版記念パーティを開いたのですが、その様子を出席者がインスタグラムやブログなど、SNSで発信してくれて。その人たちのフォロワーに「じゃあ、私も読んでみようかな」と飛び火していった。それも今っぽい広がりかたですよね。

――洋服だけでなく、横展開もできるとは。

魚がほしいという人に、魚をあげるのではなく、釣り方を教えるみたいなイメージ。不親切な本とも言われました。写真もイラストもなく、もう自分で考えなさいって内容だから。若いうちは、誰かのコピーをするのも大切だと思うけど、30歳過ぎたら個性も強く出てくるし、体型によって醸し出される雰囲気も違う。

よくトークショーで「モデルのように着こなせないのですけど、どうしたらいいですか」と質問がある。158センチくらいの人が、170センチのモデルのように着こなそうとしても無理です。だから、私は「まず無理です」と言う。そこから、どう構築していくかが大切で。だから、私の本は、合う人には合うけれど、合わない人には合わないでしょうね。

女子がみな、おしゃれが得意なわけではない

――万人受けしなくていい。

そう。私は割とオタクだし、サブカル的なところもあるし。

――でも、非常に部数の多い女性誌を手掛けてきましたよね。

『non-no』(ノンノ)や『MORE』(モア)の表紙の仕事をやっていましたが、それは私にとっていい経験でした。自分にはないテイストだったから、通勤のとき何を持っていくのとか、周りにいろいろ聞いていました。自分も通勤電車に乗れば、ここで大きいバッグは持てないよなとか、(つり革につかまるため)手を上げられない服は無理だとかわかりますし。リサーチと観察のおかげで、冷静に仕事ができたのかもしれない。

――5月に発売された『着かた、生きかた』は、人生相談のような内容もあります。

女子たるもの、ファッションを考えるのがみなうまいわけではない。やっぱり不器用な人っているし、素人はそれでいいと思う。でも今は、ブロガーとか素人でもおしゃれな人がたくさんSNSで発信しているでしょう。

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