新型「ベンツAクラス」に乗ってみた 輸入高級車ブランドがコンパクトを攻めるワケ

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新型「メルセデス・ベンツAクラス」のパワーシートは、調整ボタンがシートの形状と同じになっており、使いやすい

モータージャーナリスト気取りになって恐縮だが、かつて某自動車関係会社に勤め、小型車から高級車、スポーツカーなど、さまざまな車種を乗り比べた経験のある記者からみても、新型Aクラスは国産で同じような排気量のエンジンを積むクルマと比べて重厚感、安定感など走りの質感が高い。

広報担当者からは、「スポーティーな乗り味が特徴」という説明を受けた。たとえば、凸凹した路面を走っても確かにフワフワしない。かといってドンと突き上げるような不快な足回りの固さもない。自動車雑誌風に書くと「ボディ剛性が高く、しなやかな足回り」。さほどスピードは出せなかったが、ターボが付いていることもあって幹線道路や高速道路を流して走るのは、おそらく気持ちいいだろう。

ストップ&ゴーの軽快感はやや不足

1400kg超と、エンジン排気量の割にやや大きい車両重量に軽快さを求めるほうがぜいたく、という指摘も聞こえてきそうだが、もし不満があるとすれば、ストップ&ゴーが多い街中での走行に少し重さを感じる点。内装や装備は、高級車らしい質の高さだった。国産車と比べて100万円程度の価格差のワケに納得した。

欧州勢を中心とする高級輸入車ブランドは近年、コンパクトモデルの拡充に動いている。アウディは11年1月に発売し、これまで3ドアタイプしかなかった「A1」に、日本での需要が高いとされる5ドアのモデルを12年6月に追加。ベンツも昨年4月、同社として「コンパクト」セグメントに位置づける新型「Bクラス」を投入した。

背景には、世界的な環境規制の強化を受けたダウンサイジングの流れがあり、各メーカーとも新興国中心にエンジン排気量を抑えた車の投入が目立つ。高級車メーカーでも、コンパクトモデルやSUV(スポーツ多目的車)などを幅広く扱う輸入車が増えた。その結果、日本では、かつて大排気量を得意とした高級輸入車勢が「プレミアムコンパクト」と称される、中・小型の車種を次々と投入している。

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