名古屋人も知らない新幹線「車両基地」に潜入 日本の鉄道のすべてが愛知県にそろう?

拡大
縮小

線路幅には、一般的な鉄道より短い「ナローゲージ」と呼ばれる規格がある。一般的な鉄道の線路幅は1067ミリだが、ナローゲージは762ミリ。国内の普通鉄道線で現役のナローゲージ路線は3路線あるが、うち二つが名古屋圏にある。四日市あすなろう鉄道の内部・八王子線と三岐鉄道・北勢線だ。車内に足を踏み入れ、ロングシートに腰を下ろすと向かい側のシートが間近にある。その狭さを実感する瞬間だ。

SLも走っている

このほかにも明治時代の建築物を保存、展示する「明治村」では、現役で走る日本最古の蒸気機関車「SL12号」「SL9号」に乗ることができるし、豊橋市では路面電車が市民の足として営業運転中だ。近畿日本鉄道の豪華観光特急列車「しまかぜ」にも名古屋では乗車するチャンスがある。

日本最古?の「亀崎駅」(写真:記者撮影)

「日本最古の駅舎」も名古屋圏にある。JR武豊線の亀崎駅だ。駅舎内に貼られた建物資産標には「M19年(明治19=1886年)1月」と記されている。ただ、気になるのは1895年に同駅で火災が起きたという記録があること。「当時の駅舎は焼失して後年再建された」「屋根だけ焼失して建物は当時のまま」など諸説あり、本当に日本最古かどうかは議論の余地がある。130年前に造られた駅舎にしては、それほど古びていないようにも見える。

日本最古の跨線橋がある「半田駅」(写真:記者撮影)

同じくJR武豊線の半田駅には「日本最古の跨線橋(こせんきょう)」がある。跨線橋とは駅舎とホームをつなぐ橋のこと。1910年(明治43年)に完成した木造の橋は、いかにも長年の風雪に耐えてきた貫禄がある。名古屋に腰を落ち着けて、鉄道をテーマに旅してみると新たな発見が得られるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT