名古屋人も知らない新幹線「車両基地」に潜入 日本の鉄道のすべてが愛知県にそろう?
名古屋駅を大阪方面に向けて出発した新幹線は、名古屋駅から約2キロ離れた名古屋鉄道・栄生(さこう)駅付近を通過した辺りから回送線に入り、大きく左にそれた。
ほぼ直角に曲がるような大カーブ。左側の座席からは窓越しに新幹線の後部車両が見える。その向こうには名古屋の高層ビル群がくっきりとそびえ立つ。通常は見ることのできない風景だ。
回送線を庄内川沿いにしばらく進むと、工場のような建物内に滑り込んで停車した。ここは名古屋市内にあるJR東海の「名古屋車両所」。東海道新幹線を走る列車の、検査を行う場所だ。一般的には「車両基地」と呼ばれる。
ドクターイエローが止まっていた
JR東海にはこうした車両基地が沿線近辺に4カ所ある。東京都品川区の大井車両基地、静岡県三島市の三島車両所、大阪府摂津市の鳥飼車両基地、そして名古屋車両所である。基本的には名古屋発着の列車を留置するために使われるため、昼間に停車している列車は少ない。
が、この日は違った。建屋内に停車していたのは黄色い新幹線「ドクターイエロー」。走りながら線路や電気設備を検査する車両で、いつどこを走るかはわからない。「名古屋車両所にドクターイエローが留置されることはめったにありません」。JR東海の担当者が教えてくれた。
この幸運は決して偶然ではない。JR東海は2015年秋、4回にわたって「東海道新幹線のおしごとを学ぼう」という親子向けツアーを企画、その行程でドクターイエローが停車している名古屋車両所を訪れたのだ。記者が同行した、11月21日の土曜日に実施されたツアーには119人が参加した。
車両所に向かう回送線に一般客を乗せて走るのは初めての試み。名古屋車両所を一般向けに公開するのも初めてだ。さらに新幹線の運転手や車掌が所属する名古屋運輸所内では運転士訓練用シミュレーターと車掌用訓練シミュレーターの実演や操作体験もあり、ドクターイエローの内部見学というレアなおまけまで付く。親子で参加という条件がなければ、ぜひとも参加したいという鉄道ファンも多いだろう。
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