ピーシーデポは朝日新聞を売る 逆風下で成長するパソコン専門店のユニーク経営
パソコンは今や完全な成熟市場。低価格化、タブレット端末やスマートフォンの伸張により、国内市場規模の縮小が続いている。ヤマダ電機、ビックカメラなどの大手家電量販店の品目別売り上げをみると、花形であるテレビに加え、パソコン関連も大幅減収となっている。
この逆風下に、独特の戦略で増収基調を維持するパソコン専門店がある。「PC DEPOT」の店舗ブランドで全国に120店以上展開するピーシーデポコーポレーションである。2013年3月期の売り上げ見通しは510億円。販売競争激化を受け、11月に期初計画の540億円から下方修正したものの、前期比2.6%増と増収を維持。営業利益は6億円と前期比8.4%増を見込む。
増収基調を支えているのはハード、ソフトなどの物販ではない。「サービス売り上げ」だ。
サービスがなければ潰れていた
同社を率いる野島隆久社長(=タイトル下写真=)は「社員には、エクセルを送ってこないように指示しているんですよ。使い方がよくわからないからPDFでなければダメ」「パソコンやインターネットの設定は難しくてできない。だから家族の分も含めてすべてPC DEPOTにやってもらっている」と“パソコンの素人”であることを公言する。その野島社長の視線から、ピーシーデポは年配者や初心者向けのサービスメニューを充実させてきた。
サービスといっても、タダではない。同社の収益柱になっているのだ。2012年9月中間期実績で、全売り上げに占めるサービス比率は28.2%に及ぶ(前年同期は23.0%)。利益貢献でみれば、72.7%がサービスだ(前年同期は65.5%)。「パソコンを売っているだけだったら、もうとっくに潰れていたと思う」。
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