現代版「スラムダンク流川楓」が伸びたワケ 「NBAに最も近い203㎝」の意外な"過去"

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子どもがスポーツをしている人で「うちの子、体が小さくて」と嘆く人は多いが、小学生時代は体が小さいほうがいいという説もある。どのスポーツにおいても、よく動き、運動量が上がるほど神経系が刺激され、技術の習得も速い。適切な練習量できちんと栄養摂取し、睡眠をとれば、ほとんどの子は中高で体は大きくなる。

逆に小さいときから大きい子は「同じポジション&同じスポーツ」に縛りすぎないことが、成長のポイントになるだろう。サッカーならゴールキーパー、野球は捕手など、同じポジションばかりではスケールの小さい選手になってしまう。「運動神経を刺激する」「楽しむ」ことを、親が意識してスポーツをやらせたほうがいいだろう。

話を渡辺に戻そう。高橋監督は勧誘したが、渡辺は結局地元の尽誠学園高校に入学。当時、全国大会でまだ1勝しか挙げていない新興校をウインターカップ(全国高校選抜大会)で2年連続準優勝に導いた。

型にはめない、伸びしろを大事にする指導

尽誠学園の色摩拓也監督は、いわば流川楓のイメージで彼を育てた。英幸さんによると、190センチを超えても雄太にアウトサイドのポジションをやらせ、スリーポイントシュートなどアウトサイドからのアタックを得意とする相手のエースでも、どんどんマークさせたという。

日本を飛び出し世界で羽ばたけるか

他の指導者からは「雄太にセンターやらせてゴール下を固めろよ。そんなことをしているから勝てないんだよ」と言われることもあったが、色摩監督は決して首を縦に振らなかった。

「雄太はいつか日本を飛び出す選手。型にはめたくない」

伸びしろを大事にする指導を貫いてくれた。

「中学のバスケット部の顧問も、選手の自発性や伸びしろを大事にするいい先生だった。雄太は指導者に恵まれている」(英幸さん)

『スラムダンク』最終回は、全日本ジュニアの合宿から戻った流川が桜木に会った際、上着を脱いで「JAPAN」と書かれたシャツを見せつける場面で物語は終わる。

「続き、見てぇ~」と叫んだ人は多かろう。

20年の歳月を経て、渡辺がリアルな続編を私たちに見せてくれるかもしれない。(=敬称略=)

(撮影:今井康一)

島沢 優子 フリーライター

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しまざわ ゆうこ / Yuko Simazawa

日本文芸家協会会員。筑波大学卒業後、広告代理店勤務、英国留学を経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。主に週刊誌『AERA』やネットニュースで、スポーツや教育関係等をフィールドに執筆。

著書に『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)、『部活があぶない』(講談社現代新書)、『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)など多数。

 

 

 

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