現代版「スラムダンク流川楓」が伸びたワケ 「NBAに最も近い203㎝」の意外な"過去"

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「子どものときに体が小さければ、スキルトレーニングが十分できる。それをやってから大きくなるのが、バスケット選手が成長する理想の形です。大概、大きい子は小さいときから大きいので」(高橋監督)

神経系が発達する小学生時代に、渡辺はドリブルやシュートの技術をがっつり習得した。

「僕、NBAでやりたい」

「チビはスピードで抜かないと話にならない」と言われ、懸命に練習していた小学2年生のとき、NBAの大スターであるコービー・ブライアントとテレビの画面越しに出会い「僕、NBAでやりたい」と言い出した。

「だったら、練習しなくちゃ」

両親は冗談で言ったが、息子は本気だった。以来、中学になるまで、平日の夕方と土日の昼間は父と一緒に校庭のリンクでシュート練習に明け暮れた。ミニバスケットを知ろうと、父もトレーニング本や専門誌を買い集めた。

小学4年生くらいになった息子に、父はこう言われた。

「お父さん、ドリブルはあんまりうまくないね」

つまり、自分のほうが上だと認知したのだった。

高橋監督が言うように、これまでバスケ界の2メートル級のビッグマンはそのほとんどは、母親たちが「小さいときから大きかったんですよ」と言う子ばかりだった。

スポーツ紙の記者時代からバスケット担当だった筆者の知る限りだが、小学6年生で180センチ、もしくは190センチという「早熟の巨人」もいた。ところが、彼らは飛び抜けて大きいため、ゴール下でボールを受けることの多い5番「センター」、もしくは「パワーフォワード」といわれる4番。

スラムダンク風に言えば、ゴリこと赤木剛憲、主人公の桜木花道のポジションを、小・中・高にわたってやり続ける。もしくはチームのメンバー構成上「やらされて」しまう。彼らはボールを運んだり、スリーポイントシュートを放ったり、外角から攻めるポジションではないため、ドリブルやパスの技術やアウトサイドでの守備力がアップしない。

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