シンガポールで再び三菱商事について考えた 日本にとってグローバル化は損か得か?

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私の問い合わせに対する彼らの説明はこうだ。

「シンガポール通産省は外国籍企業にとって、資源確保を実行しやすい環境を整備してきており、通産省内におかれたIES(International EnterpriseSingapore)は、外国籍企業の誘致も積極的に行ってきた。資源のないシンガポールは、海外の優良企業を招致するために、20年以上も前から貿易インフラや金融インフラを整備してきた」との説明を受けた。日本の「空白の20年」の間に、シンガポールはぶれない政策を実行してきたわけだ。

資源開発には莫大な資金が必要だ。金融市場の整備はもとより、投融資をしやすくするために、ジュニアと呼ばれる資源探査企業も、カナダや豪州から来やすいように誘導してきた。資源企業の株式市場への上場もしやすい。今や世界の資源メジャーは、すべてシンガポールに本社を移しているとの報告を受けた。

実際、単に節税する目的だけなら、たとえばドバイに本社を移せば法人税はゼロである。世界中に税金を取らないオフショア国家はいくらでもある。だが、シンガポールは金融、運輸、通信、貿易、人材、R&D、などの全てのグローバル機能を備えた環境を構築してきたのだ。

非鉄メジャー最大のBHPビリトンが2007年頃に移転していたのは知っていたが、リオティントもアングロアメリカンもバーレも、本社は全てシンガポールになっているという。

資源探査企業のカナダのアイバンホーや、世界最大のメタルトレーダーであるスイスのグレンコア(資源部門はエクストラータ)なども、シンガポール市場を主戦場としているようだ。ならば、三菱商事の金属資源部門が移転するのも当然だ。いや、むしろ、遅いくらいだ。

世界のグローバル競争の実態とは

日本企業でも、三菱商事をはじめとする総合商社は、各社とも1件あたり2000億円以上の資源投資を実行している。これらのプロジェクトはJBIC(国際開発銀行)の協力を得て進めて来た、いわば国家プロジェクトである。

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