スマホが生んだ、“異色"文房具の大ヒット キングジム「ショットノート」開発の舞台裏

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開発本部の遠藤慎リーダー

ショットノートは、全員20代で構成する若手開発チームが生み出した。09年に、ノートをシステム手帳のようにカスタマイズできる「ノートカバー」をヒットさせた実績を持つグループである。興味深いのは会社公認ではなく、社内で自主的に発生した私設の集まりであるという点だ。08年に、「若手発で何かおもしろい企画をやりたいと、同僚と2人で始めた」(開発本部の遠藤慎リーダー、28歳)。その後、メンバーは5人に増え、定期的に開発会議を開くまでに育った。

その開発ミーティングの際、あるメンバーがノートから過去の会議メモを探すのに手間取った。この出来事がショットノートの誕生へつながる。会議はここから、「メモの検索性を上げるにはどうしたらよいのか」との議論に発展した。

飛躍的に検索性を高めるには・・・

「ファイルメーカーなので、インデックスを使って管理する方法もあるけれど、もっと飛躍的に検索性を高めたい」(遠藤リーダー)。議論は、メモのデジタルデータ化をコンセプトとした新商品の開発に進んでいった。

そこで飛び出したアイデアが、別の商品でも模索していたQRコードの活用だ。外部メーカーにアプリソフトの開発を依頼、半年間の研究・開発を経て、ノートやメモ帳の四隅にQRコードを配し、スマートフォンのカメラで読み取れば、手書きのメモを平面のデータとして認識できるショットノートが完成した。

ただ、発売までは「難産だった」(遠藤リーダー)。厚型ファイルを強みとするキングジムだが、ノートやメモ帳は未開拓の分野。売れ行きのメドは立たず、社内からは新商品投入に否定的な声も多く出ていた。1部あたりの価格が数百円と安いため、経費回収の困難さから、発売当初には広告をまったく打てないという厳しい船出も強いられた。

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