引きこもりから年俸4000万に這い上がった男 千葉ロッテ・岡田幸文の「やり続ける力」

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しかし――。12年シーズン、岡田には停滞が待っていた。

開幕から打撃不振に苦しみ、1番やスタメンから外される試合もあった。出場は131試合、打率は2割6分2厘と、ともに前年から低下する。チームは5位に沈んだ。年俸は4000万円に上がったものの、決して満足のいく1年ではなかった。

迎える13年シーズン、ロッテは伊東勤を新監督に迎え、新たなスタートを切る。指揮官は前年に5番を任され、首位打者獲得とブレークした角中勝也を1番に据える構想を明かしているが、岡田は挑戦状をたたきつけた。

「とにかく13年は結果を残すこと。144試合が終わって、最低2割8分は打たないとダメ。つねに自分が1番で出ていなくては、強いチームにはならない。1番にこだわりを持って、そのためにどうすればいいかを考えます。1番を固定していないチームは、弱くなってしまいますから」

大事なのは、夢をもってやり続けること

岡田は、自らを最も活かすことのできる打順は1番と考えているのだろう。長打力は低いものの、センターからレフト方向中心の打撃、そしてセーフティバントや内野安打で出塁するのが持ち味だ。塁に出れば、相手バッテリーに盗塁を意識させながらプレッシャーをかけることもできる。

各報道によると、岡田は13年シーズンの目標を「66個以上の盗塁」と掲げた。「聖澤、本多選手に負けないように。最終的に盗塁王を取りたい」

守備力だけを考えた場合でも、岡田はロッテに欠かせない戦力だ。たとえ打率が2割6分ほどでも、12年シーズンのように2番や下位打線に置いて足を活かす手もある。

だが、岡田は1番へのこだわりを見せる。自らの特性、そして価値を考えたとき、最も輝ける場所であるからだ。

「大事なのは、やり続けることじゃないですか。夢を持って」

「大切なのは、もっとうまくなりたいと、ずっと思っていることじゃないですか」

アマチュア時代の初心を一軍の主力となった今も忘れず、自身に強い期待と高い目標を設定し、岡田はさらなる成長を追い求めている。 

中島 大輔 スポーツライター

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なかじま だいすけ / Daisuke Nakajima

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。2005年夏、セルティックに移籍した中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に野球界の根深い構造問題を描いた「野球消滅」。「中南米野球はなぜ強いのか」(亜紀書房)で第28回ミズノスポーツライター賞の優秀賞。NewsPicksのスポーツ記事を担当。文春野球で西武の監督代行を務める。

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