銃撃犯がいても試験を続ける米名門校の病弊 UCLA銃撃事件…そのとき何が起きていたのか
後に、この教授は「やはり、期末試験は今日受けなくてもいい」というメッセージを学生に送ったが、その時はすでにツイッター上に最初のメッセージが出回り「学生の命より試験を優先するとは、事態の重さがわからないのか」というコメントで炎上した後だった。
スイス出身のシングいわく「ヨーロッパでも、大学の成績は非常に重視されるけど、命と引き替えに期末試験を受けるべきか、などと考える人間は、自分が知るかぎり、ひとりもいないと思う」。
銃社会の本丸のようなテキサス州ヒューストンで「車の中には銃を常備するのが普通」という環境で育ったコスマラは言う。「アメリカ国内で銃犯罪やスクール・シューティングがあまりにも何度も繰り返し起きているために、いざ自分のキャンパスで現実に起こっても、もう何も感じないところまで感覚が麻痺しているのではないか」。
今回の銃撃事件についてどう思うか
その日の午後、ヒューマニティ学部で「非暴力」を教えるクラスが一般公開された。多くの学生や大学スタッフが事件について感情を吐露した。
「怖くて必死で逃げている学生が、警察から銃を持っていないかどうか身体チェックされているのを見るのはすごく複雑だった。誰が犯人かもわからない混乱状態だから仕方ないけど」(女子学生)
「ちょうどカフェテリアで働いていたけど、自分が客の命を守らなくてはと必死でバリケードを作った。上司もいなかったから、すべてひとりで判断して行動した」(男性スタッフ)
「キャンパスの近くの教会にいたけど、映画のワンシーンを見ているようで、まるで実感が湧かなかった。何も感じず、何もできなかった。そんな自分に驚いた」(男子学生)
「学生は勉強が本分なのに、それに加えて、学内で命を守るにはどうすればいいか、自衛しなければならない現実に怒りを感じる」(女子学生)。
「今日、早速授業が再開されたけど、あっという間に何事もなかったかのように、キャンパスが元に戻った。人が殺されているというのに、早く事件を忘れた者勝ちという感じで違和感を感じる」(女子学生)
そんな中、あるひとりの女子学生がこう言った。
「私の弟は銃で撃たれて死んだ。その後、私は必死で勉強して、全米でもトップクラスのこの大学に入った。うちの母が2人目の子供を葬らなくて済むような環境を作っていかないと」
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