銃撃犯がいても試験を続ける米名門校の病弊 UCLA銃撃事件…そのとき何が起きていたのか

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「ロックダウン」という言葉は、アメリカの学生なら、小学生でも全員が知っているスクールシューティング時の「基本用語」だ。教室の扉を内側からロックすることを指し、逃げ遅れた学生が外にいて、部屋の中に入れてくれと泣いて頼んでも、決して扉を開けるなと訓練で教わる。銃を持つ犯人が学生の後ろに隠れているかもしれないからだ。

その「ロックダウン」の文字を見て、初めて、これは現実なのだと多くの学生が気づいた。そのとき図書館内にいたシングは、部屋の入り口にバリケードを作って塞ごうとしたという。

ほとんどの学生はそのまま勉強をし続けた

殺された教授へのメッセージと花束

だが、200人ほどの数の学生が「きっと大丈夫だろう」「そこまで大げさにしなくても」と言い、そのまま期末試験の勉強を続けていた。

「ロックダウンの指令が出ているのに、何もしない。そんな学生たちを見て、完全におかしいと思った。命と試験とどちらが大事なのか、その優先順位がつかなくなっている」と語るシング。彼は学生寮のレジデント・アシスタントも務めており、その業務の一環でたまたま「アクティブ・シューター訓練」を受けていたため、椅子を積み重ねてバリケードを作るなどの機転を利かせた。だが、図書館に200人ほどいた学生のうち、ロックダウン時にどう行動すればいいか知っていたのは、4人だけだったという。

事件翌日には、卒業を控えてのなごやかな語らいがあちこちで見られた

シングがベルトを使ってドアを固定しようとすると「そこまでする?」と笑う学生もいた。

学内新聞『デイリー・ブルイン』の記者としても働く前述のコスマラは、多くの教室のドアに鍵がついていないため、内側からロックできないケースが多いことを指摘した。

さらに、ロックダウン中も授業を続けた教授が複数いたと言う。

「いちばん驚いたのが、ある教授が、銃を持つ犯人が学内にいるロックダウンの状況にもかかわらず『どこかでコンピュータを見つけて、今日中に期末試験を受けなさい』というメッセージを学生に送っていたことだ」と彼は言う。

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