1ドル=80円~88円、円安のピークは上半期
専門家に聞く2013年の為替見通し
ここから先を見た場合、ドル高円安方向のピーク、日経平均株価のピークは上半期に来る可能性が高いのではないか。13年1月24日には12年の年間貿易収支が発表される。昨年は11年の通年の貿易収支が31年ぶりの赤字となり、これを見た海外投資家は円売りを加速させた。
12年の貿易赤字は、11年の2.5兆円に対し7兆円超まで膨らむ見通しで、海外投資家にとってはそれなりにショッキングな数字と映ることが予想される。その際、1円程度、円安に動く可能性もあろう。
また、消費税増税への道筋を確保するためにも、政府・与党は、1~6月期に金融緩和、財政出動を積極化させることが予想されるので、円安方向に動くことは否めない。ただ、所詮は「金利差なき円売り」であり、政策の実現性が問われる過程で年央以降、巻き戻しも警戒したい。
野田前首相が解散を表明する直前の12年11月13日には1ドル=79円程度だったので、足元の政治的な追い風が剥落した場合、そのあたりまでは戻ってくるのではないか。より具体的には、政府・与党の円安政策(明示的には官民協調外債ファンド)に対して、米国などから懸念が出れば、巻き戻しは避けられないように思える。
構造変化により昨年から円安方向に転換
だが、円安の要因は、政治関連だけにあるのではない。第1に需給の構造変化という土台があって、第2に欧米経済が落ち着いてきたという動きがあって、最後に、安倍首相の一連の各種発言が乗っかったという面がある。野田前首相が解散を表明する直前の11月13日時点で、円はすでに主要通貨の中で独歩安だったことを忘れてはならない。
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