発送電分離より、小売り全面自由化を進めよ

論争!発送電分離

特にこれからは、欧州で進んでいるガス&パワー(ガス・電力事業の統合)のように、原発依存度の低下やLNG調達の効率化とも絡んで電力とガスの連携の必要性も高まってくるなかで、総合的な制度設計が求められる。でなければ、日本に総合エネルギー企業は生まれようがない。

小売りは全面自由化すべきだが、発送電は一貫のままでいい

――発送電分離の方法としては、現状の「会計分離」から、「機能分離」、「法的分離」への転換が議論されており、一部では欧州で進んでいる「所有権分離」を目指すべきとの意見も多い。

すでに家庭以外の分野では発送電一貫は崩れている。PPS(特定規模電気事業)や卸自家発事業者が送配電網を中立的に利用できるように監視するために、ESCJ(一般社団法人 電力系統利用協議会)が設立されており、今の議論はその機能としての独立性や透明性を高めようという流れ。だから、まずはESCJの機能を強化すればいいのではないか。それが足りないとされるのであれば、まずはESCJの理事たちがその運営を抜本的に改善することがスジだろう。

欧州の場合は確かに所有権分離が多いが、もともと国営電力会社を民営化に伴い分割して所有権分離したのでやりやすかった。これに対して日本では、電力会社が民営なので、私有財産を接収する法律をつくらないと所有権分離ができない。不可能ではないだろうが、そこまでする意味があるのか。先述したように、今の体制で定量的に国民的損失がどのくらい発生しているのかが明らかになっていない中では、その論拠も薄弱だ。

私としては、電力会社が将来的にガスなど他の事業に展開したり、海外へ進出したりするうえでも、ホールディング(持ち株会社)制による法的分離のほうが、ダイナミックな経営には適していると思う。ただ、法的分離するにしても、これまでの一般担保の付いた社債権者の債権がどうなるか、またそれにもまして、今後必要となる巨額の設備投資資金の低廉かつ確実な調達は可能なのかなど、金融面で難しい問題がある。

――システム改革としてどこまで自由化すべきだと。

小売りサービスの全面自由化は是非やるべきだ。一方、発送配電の物理的インフラに携わるほうは、現状のままの一貫体制でいいと考えている。

家庭向けの小売り自由化については、「旅行業モデル」を目指すべきだ。これまで電力会社の独占の弊害は、とりわけサービス開発部門の力不足に出ていた。

電力小売りは「旅行業モデル」目指せ

旅行業では、インフラは航空会社が持っているが、近畿日本ツーリストやJTBなどが旅行のパッケージを作って、消費者に売り込んでいる。今後は電気についても、ガスや石油も一緒にして、ガスファンヒーターにするのか、石油ファンヒーターにするのか、エアコンにするのか、といったことを消費者にセットで選んでもらう。家庭にとって、どのようなエネルギーミックスで、どのような料金体系で導入すべきかは、すべて自由化したほうがいい。

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