発送電分離より、小売り全面自由化を進めよ 論争!発送電分離

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その際、事業者がインフラを持っていると、サービスのバラエティがなくなる。「インフラを持たないサービスインテグレーター」のような事業者が自由に商品を売ればいいと考えている。今の電力会社は、こうしたサービスインテグレーターに商品を卸せばいい。

市場原理を無視した固定価格買い取り制度は不要

――発送電分離の必要性としては、再生可能エネルギーを国家戦略的に拡大していくうえでも、送電網の中立性が不可欠という考え方が指摘されます。

コストの高い再生可能エネルギーを、FIT(固定価格買い取り制度)で市場原理を無視して送電網に取り込むこと自体がおかしい。よりコストの安い火力発電や原発の投資が抑制され、稼働が止まることで、二重にコストがかさむ。それが電力料金に跳ね返ってくる。

ドイツではすでに買い取り価格が20円程度まで下がってきているのに、なぜ日本は40円から始めなければならないのか。ドイツでは、バックアップ電源としての火力発電を維持するために、国がコストを負担するという事態にも至っている。

再生可能エネルギーを拡大するのならば、電力会社に再生可能エネルギー導入を義務付けるRPS制度(12年7月に廃止)を強化(導入比率の増大)したほうが、コスト競争力のあるエネルギーから導入が進むため、まだましだった。FITはCO2対策としても高くついているし、エネルギー政策としての必要性はさらに薄い。

さわ・あきひろ●1957年大阪府生まれ。1981年、一橋大学経済学部卒、通商産業省(現経済産業省)入省。1987年、プリンストン大学ウッドローウィルソン行政大学院修了、行政学修士(MPA)。2001年、経済産業省産業技術環境局環境政策課長。03年、経済産業省資源エネルギー庁資源燃料部政策課長兼燃料政策企画室長。04~08年、東京大学先端科学技術研究センター教授。07年より現職。11年、特定非営利活動法人国際環境経済研究所所長・副理事長(現職)。

(撮影:今井康一)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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