欧州の将来について、国民投票後の英国人の合意を形成することなど不可能だと考えられても不思議ではない。しかし合意形成の方法はあるはずだ。まずは英国民が、相互依存を深める世界において、各国が望む自主権と、必要な国際的協調の間のバランスをうまくとることが必要だと認識すべきである。
また英国は、二つの極端な選択肢の中から答えを選ぶ必要はない。完全な自主権は近隣国と協調する必要性や、欧州の超大国へと変貌する意欲をそぐことになる。さらに継続的な国家の帰属意識や意思決定の重要性を認識できなくなってしまう可能性もある。
本来、協議すべきは英国と欧州の両者の競争力を高め、民主的で責任ある国家にする方法である。機会、公平性、安全保障の面で、英国が欧州から得られるものが大きいことを示し、英国がEU改革を主導できることも示せれば、英国人の合意は生まれてくるかもしれない。
今後10年で50万人以上の雇用創出も
経済を例に取ろう。英国はユーロを採用していないことで、自由に金利を定める自主権を保持している。一方、欧州の単一市場に参加したことで、成長や雇用の観点から英国に明らかな利益をもたらしている。
こうした自主権と協調のバランスを続ければ、英国は今後10年間でも50万人以上の雇用を創出することができるはずだ。また英国がデジタル、エネルギー、金融サービスなどで互角に渡り合える土壌を欧州に作る試みを主導すれば、欧州全体の競争力を高めることにもつながる。
英国は欧州の次のステージを形成するための最前線に立っている。欧州に積極的に関与すれば、英国は単なる北大西洋条約機構やEUの加盟国でなく、それ以上の存在だと認められるはずだ。6月23日、英国民は自国の将来がEU離脱にではなく、EUのリーダーたりうることにあると示すべきである。
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