トヨタ「クラウン」の憂鬱 大胆チェンジに踏み切った3つの理由
クラウンといえば、日本の高級セダンの代名詞。「保守」の伝統を背負うだけに大胆なデザイン変更にはリスクも伴うが、トヨタがここまで「攻め」の姿勢を打ち出さなければならないワケは、クラウンが長期的な低落傾向から抜け出せないからだ。
クラウンの歴史は日本経済の縮図でもある。栄華を極めたのはバブル経済の絶頂からほどない1990年。年間販売台数は20万台を超えた。ところが、その後は低落傾向をたどっている。モデルチェンジのたびに少し盛り返しても、長期的なトレンドでみれば販売台数は右肩下がり。今年の販売台数は3万台前後と、ピークから8割以上も減少しているのだ。
理由は大きく3つある。
消費者行動が大きく変化
まずは「セダン離れ」だ。セダンとは、ボンネットとトランクを持つ5人乗りのクルマ。昭和の時代までは、乗用車といえばどれもこれもセダンだった。消費者は排気量と価格に応じて、自分に見合う車種を選んでいた。その頂点に位置していたのがクラウンだった。
ところが平成に入ると時代は一変。ミニバンやコンパクトカー、SUV(スポーツ多目的車)、ハイブリッド車(HV)など車種の 選択肢が広がり、社会的に成功を収めたからといって高級セダンを買い求めるという消費行動パターンにならなくなった。