トヨタ「クラウン」の憂鬱

大胆チェンジに踏み切った3つの理由

新型クラウン発表会で会見する豊田章男・トヨタ自動車社長

2つ目は往年のブランドが通用しにくくなったことだ。つい今月、日産自動車が中級セダン「シルフィ」のモデルチェンジを機に「ブルーバード」の車名を外したのは記憶に新しい。日産は「セドリック/グロリア」で知られた高級セダンブランドを「フーガ」に一新。トヨタ自身も「コロナ」や「カリーナ」といったかつてのセダンの代名詞を廃止している。

最後の理由は、クラウンそのものの位置づけにある。運転手付きで乗る「センチュリー」を除き、かつてのクラウンは個人で運転するクルマとしては、トヨタの最高級グレードだった。ところが、バブル絶頂期に「セルシオ」が登場。その後、トヨタは高級車ブランド「レクサス」を立ち上げ、ドライバーカーの最高級グレードは事実上、セルシオ後継の「LS」が担っている。

そして日系自動車メーカーにとって、高級車のライバルは同じ日系ではない。「メルセデスベンツ」「BMW」「アウディ」など欧州系を中心とした輸入車勢である。かつては電装系など品質面で日本車に劣った輸入車も、近年は大幅にレベルを上げている。トヨタにとって「トヨタブランドの最高級車はクラウン」という位置づけは変わらなくても、事実上は高級車の代表車種も、輸入車勢と戦うのも、もはやレクサスなのである。

狙うは「ゼロ クラウン」の再来か

そのクラウンが、息を吹き返した時期がある。前々回の03年に全面改良して登場した12代目だ。それまでの重厚なデザインから一新「ゼロ クラウン」の名称で久々のヒットとなった。一方、前回08年のモデルチェンジでは比較的おとなしいデザイン変更にとどめたこともあってモデルチェンジ効果が薄く、販売成績も振るわなかった。

今回はこうした前回の反省も込めて大きなデザイン変更に踏み切った。「社内でも反対意見は多かったが、このデザインも見慣れれば普通。かえって他のデザインが古くさく見えるようになる」と山本卓・チーフエンジニアは自信を見せる。

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