安倍総裁の要請で日銀「物価目標」見直しへ 日銀と新政権の溝は埋まるか

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金融緩和の理解浸透をアピール

今回の会見はいつもと趣が違った。白川総裁がフリップを使って今後推し進める金融緩和について説明したからだ(冒頭の写真)。これについて白川総裁は、「日銀が地味なせいか、非常に積極的な金融緩和を行っている事実が十分に浸透していない」と説明した。

10年10月に実質ゼロ金利政策を導入し、政策金利を通じた金融調節という伝統的な手法は使えなくなった。現在は資産買入れ基金を創設し、国債を中心に社債やETF、REITなどリスク資産購入も実施している。

前例のない金融緩和は複雑化している(日銀が定期的に行う「生活意識に関するアンケート調査(全国の20歳以上の個人4000人対象)」では、日本銀行の外部に対する説明について、約6割が「わかりにくい」と回答している)。

では、なぜ「先進国ではもっとも(金融緩和で)資金供給が多い」(白川総裁)にもかかわらず、経済が回復せずにデフレも長期化しているのか。

日銀は金融政策だけでなく政府、日銀両方の取り組みが重要だと強調してきた。しかし、安倍総裁は「大胆な金融緩和を行っていく」と、まだまだ不十分と言いたげだ。日銀は「非常に積極的な金融緩和を行っている」と主張し、金融緩和の現状認識が異なる。

デフレ脱却を図るために、政府と日銀がそれぞれ何をすべきかのか。物価上昇率の「目途」と「目標」をめぐる”決着”は入り口にすぎない。 

井下 健悟 東洋経済 記者

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いのした けんご / Kengo Inoshita

食品、自動車、通信、電力、金融業界の業界担当、東洋経済オンライン編集部、週刊東洋経済編集部などを経て、2023年4月より東洋経済オンライン編集長。

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