「沖縄の貧困」は学歴社会と暴力が生み出した

平均年収は全国最下位、雇用は崩壊状態

「虐待をやめられない今も苦しいけど、本当に貧困で苦しんだのは18歳で結婚した後。妊娠中が特に悲惨だったよ」

17歳でキャバクラ嬢になった里見さんは、18歳で妊娠。相手の暴力団員と出来ちゃった婚をする。

「結婚は本当に失敗。ヤンキーばかりの環境だから、暴力に対するハードルが低いの。だからヤクザも身近なの。そうじゃないと、貧乏ヤクザと結婚しないよ。学歴がない人間は、狭い地元のコミュニティがすべてになるし、ヤクザはヒエラルキーのトップ。だから、当時は相手がヤクザでラッキーくらいに思っていた。18歳だと女の先輩に呼びだされるとかあって、暴力振るわれる。でもね、ヤクザと結婚した瞬間、面倒くさいことがいっさいなくなる。平和になる。狭い世界で自由を手に入れられる代償として、社会的な信用を失ったわけ。18歳じゃ社会のことなんてなにもわからないからさ」

出来ちゃった婚をして、夫婦の住まいとして実家近くにある祖母の持ち家を無償で借りた。家賃がかからない恵まれた環境だったが、結婚すぐに暗雲が立った。

「普通の家庭を築きたかったから、妊娠してキャバは辞めた。そのときはちゃんとした家庭を築きたいみたいなことは思っていたけど、暴力は得意だけど、旦那はまったく稼げなかった。暴力的なのは、今は本当に需要がないみたい。今のヤクザは頭を使えないとカネ稼げないから、上納金も払えないみたいな。なんとかしてほしいって旦那を支えたけど、全然ダメだった」

ライフラインがすべて止まった

夫婦2人は無職になった。祖父と祖母からもらう1000円、2000円のお小遣いしか収入がない。光熱費は払えない、最終的には自宅のライフラインがすべて止まった。

「無収入が半年くらい続いて、水も止まった。貧乏はキツイ、頭おかしくなるよ。ライフラインが全部止まると、生きている感覚がなくなる。意気消沈する。水が止まるとお風呂とかトイレとか、本当に根本から生活に困るの。最初は近くの公園から水をくんでくるわけ。最初は水を運べても、だんだん気力がなくなる。電気が2カ月、水道は4カ月で止まった。マジで、払えなかった。そういう状態だと2000円があったら、光熱費払うより、食べ物買う。極限だよね。そうなると、旦那のダメさに腹立つのではなくて、ツライ思いをしているからもっと一緒にいようみたいな感覚になる。正常な判断ができなくなった」

近隣に家族がいたので飢餓状態は免れたが、水が出ない家で無収入の生活を続けながら出産した。長女が生まれた。本当に「かわいいな」と思った。

「子供を産んだ瞬間に現実が見えた。産んだ後、夫が事件を起こして裁判があったの。私は反社会勢力の人と婚姻関係にあるから、自分も同じに見られるってことに気づいた。最悪と思った。狭いコミュニティのヒエラルキーより、社会的な排除のほうが大きい。19歳のとき、そんな当たり前のことに気づいた。心からまずいと思った。そこで初めて夫と離婚しなきゃって思った」

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