粘る74歳、サンダース「熱狂的選挙」の舞台裏 ロスで12時間密着取材して分かったこと

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ハリウッドのど真ん中にあるサンダース選挙事務所には、バーニーTシャツを着た支持者たちが待ち受け、「バーニー!バーニー!」と歓声が沸き起こっていた。

「カメラ撮影をするメディアはここにしゃがんで並んで。セネターが出てきたら6秒間撮影できます。絶対に立ち上がらないで。出る時は速やかに出ること」

家族も応援に駆り出されている

そうスタッフに指示される。支持者だらけで足の踏み場もないほど満員のオフィス内。空気も薄く感じられる。サンダースが登場すると、「アイラブユー、バーニー!」と、どっと歓声が上がる。孫ふたりと息子を連れたサンダースが壇上に上がると「ワー!」という歓声が最高潮に達した。あっという間に6秒が過ぎ、通路に移動させられた。

狭いライブハウスのようなオフィスの四方八方にシークレットサービスが立ち、観衆の動きを目で追っている。選挙事務所で電話をかけてサンダース投票を呼びかけるボランティアをする人々の多くが若者だが、中には幼い子供を連れた親世代もいた。

誰かにインタビューしたいのだが、聴衆はサンダースの演説に夢中で、声がかけられない。そうこうしているうち「6月7日がきたら…」という合図のフレーズが聞こえてきた。

「いいですか、行きますよ!」と引率のジョーに声をかけられ、演説が終わる直前でオフィスの外に出て、ミニバンに走って戻る。サンダースのSUVより遙か彼方に駐車されているミニバンに、サンダースより早く乗り込まないと、いつ発車してしまうかわからないからだ。有権者にインタビューする時間も、トイレにいく時間もない。

シャツ姿に黄色い帽子で公園へ

「次はイミグレーション政策のタウンホールミーティングです。移動に40分ぐらいかかります」とジョーがアナウンス。ミニバンに乗り合わせた7人の記者・カメラマンの携帯番号をジョーが把握し、全員にテキストメッセージで、集合・出発時間のリストが送られた。バンの中ではツイートにサンダースの写真をアップする作業に追われる記者たち。前述のフランスのカナルTVのリポーターは、テレビカメラを持たず、フォロワー向けにツイートでリポートするのに専念している。

「映像はAP通信からの配信を使うの。その方が安いから」。そんな話をしていたところ、突然バンが止まった。「あ、セネターが公園を歩きます」とジョー。エコパーク地域の大きな公園前にシークレットサービスが次々走り出る。

車からすでに降りたサンダースは、シャツ姿に黄色い帽子を被っている。オークランドのプロ・バスケチーム、ゴールデン・ステイト・ウォリアーズのキャップだ。「え?バーニー?どうしてここに?」と驚く住民たち。

アイスキャンディーの少女を抱きかかえるサンダース

芝生の上でくつろぐ同性カップルにずんずん近づくサンダース。「邪魔したかな?」「えー!バーニー?本当に?」「6月7日、投票してくれるか」「必ずするよ!セルフィー撮らせてバーニー!」

あっという間に人々が集まってきた。「信じられない。これ見て!バーニーと写真撮っちゃった」と語るのは、近所の住民のデボラ・デュガド。「もともとバーニーを支持してたけど、こんな地元の公園にふらっと来るなんて、ますますファンになった」。

シークレットサービス約20人が歩くサンダースを取り囲み、誰かがうっかりサンダースの後方に立つと「前に回れ!後ろに立つな!」と突き飛ばされる。アイスキャンディーを食べていた幼い女の子をサンダースが抱き上げて、「一口くれる?」と尋ねると、女の子は「ノー!」と笑って答える。

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