粘る74歳、サンダース「熱狂的選挙」の舞台裏

ロスで12時間密着取材して分かったこと

サンダース陣営が配布したその日のスケジュール表によれば、午後には、州内のヒスパニック系住民と移民政策を話し合うタウンホール講演予定が入っている。ヒラリー・クリントンが長年がっちり抱えてきたヒスパニック系支持層に何とか食い込もうという意思が見える。

「ヒラリーに対抗して、ラティーノ票を取り込むにしては、投票日の7日まで数日しかない今になってタウンホールとは、少し遅すぎませんか?」と、ポスト紙記者に聞くと「いや、まだ数日あるから見込みはあるよ」と、かなりサンダース陣営に好意的な答えが返ってきた。

デッドヒートの状況

最新の世論調査でのカリフォルニア州住民のサンダース支持率はクリントンを若干上回り、どちらが勝つかわからないデッドヒートの状況だ。

後ろに座っていたニューヨーク・タイムズ紙のベテラン記者が「だけど、世論調査も、もうあてにはならないしね」と口にした。「今時、若い有権者は携帯でも通話なんて、ほとんどしない。だから、彼らが参加しない、電話による世論調査の支持率はそれほど信憑性がないとも言えるし」。

彼は、若者に人気の『バーニー』と『ビヨンセ』を記事の見出しに同時に入れれば、記事のウェブアクセス数が相乗効果でぐっと上がるのだ、とジョークめかして語った。

記者たちのおしゃべりが聞こえてくる。「サンダースって実際の素顔はどんな感じ?感じいい?」「いや、ナイスではないね」「そうか」「ナイスな政治家なんているのかね?」

そんな彼らが開けているノートパソコン画面には、「モハメド・アリ、74歳で死去」のニュース見出しと、アリの若き日の白黒写真が表示されていた。

会見開始ギリギリになって、隣の席にひとりの記者が滑り込んできた。彼女が抱えているのは、スーパーの紙袋いっぱいに入ったクッキーや果物とペットボトルの飲み物だった。「なぜ記者会見場に大量の食べ物を?」と不思議に思った自分が、いかにド素人だったか思い知らされるのは、この数時間後だった。

黒カーテンの後ろからサンダースが登場

「グッドモーニング!」

黒カーテンの後ろからバーニー・サンダースが現れた。「投票率が高ければ、カリフォルニアで我々が勝つ可能性は高い」と前置きした上で、サンダースは、「選挙に勝つために必要な代議員数の計算において、メディア報道ではどうも誤解があるようだ」と切り出した。続けて、7日の早い段階で、東海岸のニュージャージー州の投票集計結果を理由に、もしクリントン陣営が勝利したとする報道が出ても、予備戦は決して終わりではない、と語った。

そうか、クリントン優位と報道するメディアにクギを刺すのが、この会見の目的というわけか。

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