端境期からの脱却が見えない日経平均の憂鬱 期待できない主力株、小型株人気は当分続く

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しかし、アメリカは2度目の利上げと同時に業績相場(景気回復相場)に移ろうとしているが、日本は端境期からの脱却は見えないどころか、政策だけが頼りの金融相場に戻りそうな停滞感を見せている。ここで重要なのは、政策相場の先には景気回復相場―過熱相場があるということだ。デフレ脱却が出来そうで出来ないこの端境期が長期間続くとしても、株価の位置は山で言えば3、4合目。政策にギブアップは無い。政策はエンドレスで続く。この基本はしっかり持っておくべきだと思う。

では、一般投資家はどうしたら良いのか?今年初めての5連騰で高まった安心感を一気に崩すこの下げに、取材したある海外ファンドマネージャーは、「これだから日本株にはまともに参加できないんだよ」と吐き捨てた。今参加している投資家はまともではないのかとなるが、外国人投資家さえあきれる主力株の情けない動きに対抗して、すでに個人投資家は動いている。

業績相場に入った個別株は一握りではない

先日のラジオ日経のアンケートで、マザーズ市場の銘柄を売買している個人投資家は36%ほど。JQや、東証2部や東証1部でも時価総額の小さい銘柄の売買を加えると、半数は優に超えるだろう。長期間続くかも知れないこの端境期相場で、業績相場に入っている個別株に賢明な投資家は資金を移しているのだ。そんな銘柄はほんの一握りだと言うかも知れないが、筆者から見ると、その数は3500銘柄の内、500銘柄はくだらない。

筆者がカバーしている銘柄でも、週末の動きを見ると、2352エイジア(前日比199円高)、2362夢真HD(同14円高)、3237イントランス(同1円高)、3277サンセイランディック(同3円高)、4304Eストアー(同44円高)4875メディシノバ(同2円高)、6240ヤマシンフィルタ(同5円高)、6298ワイエイシイ(同3円高)、7771日本精密(同5円高)、8061西華産業(同1円高)、8938ロジコム(同22円高)となった。1413桧家HD(同7円安)も最近動き出した。

この傾向は、全体相場が端境期を抜け出して、はっきり業績相場(景気回復相場)が始まるまで続くと思っている。それは今年末か、あるいは来年か――。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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