端境期からの脱却が見えない日経平均の憂鬱 期待できない主力株、小型株人気は当分続く
先週末発表された注目の5月米雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比3万8000人増と、市場予想の15万5000人増を大幅に下回るサプライズな結果となった。その後発表されたISM5月の非製造業景況指数も市場予想を下回った。それを受けて週末のダウは一時150ドル近い下げとなったが、このところ高まっていた6月、7月のFOMCでの利上げ気運が緩和されたことで買い戻しも入り、下げ幅を縮小した。ダウは31.50ドル安の1万7807.06ドルと、サプライズな雇用統計の数字の割には、落ちついた引けとなった。
このように、米国株は景気に不透明な数字が出ても、「利上げ遠のく」に相殺され、下げ幅は限定的になったが、「利上げ遠のく」でドルは大きく売られ、ドル円は一気の106円台半ばとなり、日本株としては最悪の結果となった。CME日経平均先物は1万6335円(日経比307円安)で帰ってきている。この状態で、今週のメジャーSQ週に突入する。売り方攻勢に耐えられるのだろうか。
下げたところはバタバタしないこと
空売り比率が先週木曜日42.9%、金曜日42.3%と、日経平均1万6500円前後で増えて来た。空売り筋は下放れの勝算ありと読んだようだ。彼らの短期攻撃の目安は、経験則から言って1000円幅だ。つまり、1万6500円で攻撃したら1万5500円位には下がると考えた上での売りだ。1万5500円は週末金曜日の日経平均予想EPS1193円85銭で計算すると、予想PERは12.98倍。ちょうど2月の安値と同じ13倍割れとなり、瞬間はありそうだが、長居(下げたまま)をするところではない。
売り方も買い戻さなければならないので、一般投資家の心構えとしては、下げたところではバタバタしないこと。余裕筋は買い場とも言える。引き続き安倍総理と黒田総裁と、米利上げ(ドル円)次第だ。今週の日経平均予想レンジは1万5800円―1万6800円とするが、あくまで短期的な見方である。
ここで、故浦上邦雄氏の相場循環表を見てみたい。景気循環とも符合するが、相場は金融相場(政策相場)―端境期―業績相場(景気回復相場)―過熱相場―逆金融相場―逆業績相場、そして再び金融相場(政策相場)に戻る。リーマンショック後の米QE政策での、ダウ1万8312ドルの史上最高値や、2012年の日経平均8000円から15年2万868円までのアベノミクス相場は、正に金融相場(政策相場)の典型だった。その後両者は業績相場(景気回復相場)に移る前の端境期に入っている。
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