追加緩和は「時間稼ぎ」の役割しか果たせない
これだけはハッキリしています。金融緩和のやりすぎは米国や韓国の例が示しているように、国民をさらなる生活苦に追い込むだけです。
そもそも、ユニクロやしまむらの服、ソフトバンクの携帯、ニトリの家具、エービーシー・マートの靴、エイチ・アイ・エスの旅行、大手スーパーやコンビニエンスストアのプライベートブランドなど、これらの商品やサービスが繁盛しているかぎり、デフレから脱却し、健全なインフレが起きることは考えにくいのです。
それでも、消費者が好んでより安い商品やサービスを求めているのですから、今のうちはそれでいいのではないでしょうか。国民の所得が上がらない中でインフレになるくらいなら、まだデフレのほうがマシだと言えるでしょう。
確かに、金融緩和によって円安が進み、株価が一時的に上昇するかもしれませんが、欧米経済の本格的な回復なしには、実体経済におカネは回りません。追加の緩和は、欧米経済の回復まで円高の進行を抑える「時間稼ぎの役割」しか果たすことができません。
企業の資金需要が伸びない中で、いくら金融緩和をしても銀行は国債を買うぐらいしかおカネの振り向け先がありません。過度に金融緩和を進めたとしても、銀行はこれ以上、日銀からの資金供給を望んでいないのです。
デフレの本質を完全に見誤り、この国の経済運営について誤った処方箋を考えている政治家に任せることは、国民にとってこの上ない不幸なことです。この話の詳しい内容については、拙著『日本経済大消失』(幻冬舎)の中でも述べているので、ご興味がありましたらお読みください。間もなく誕生する新しい政権には、間違った経済政策を実施しないようにしてほしいものです。
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