中国人強制連行、「和解」が及ぼす今後の影響 三菱マテリアルが自主的判断、その根拠は?

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同社は「謝罪金」を支払うことになった理由について「過去、5回の訴訟では中国人元労働者の賠償請求は全て棄却されてきたが、本人の意に反して強制労働があったという事実は認定されている。一部のケースでは裁判所側から解決に向けて企業の努力も必要との付言もあった」ことを挙げた。

今回は3名の中国人元労働者に対して約170万円を支払うことで合意しているが、和解の対象となる中国人元労働者は10の事業所で受け入れていた労働者3765人にのぼる。仮に全員に「謝罪金」を支払うことになると、合計64億円になる。支払いにあたっては、その中国人元労働者の所在調査や適格性の確認などが行われることになる。

三菱重工業は過去に調停を拒否

過去、同じ三菱グループ内でも三菱重工業の場合、強制労働者に対する韓国裁判所の調停案を拒否したという事例もある。「1965年の日韓請求権協定で問題は解決済み」というのがその理由だ。

今回の三菱マテリアルの和解は、あくまで一民間企業としての判断だが、ほかの日本企業にとって無視できない事情もある。すでに多くの日本企業が中国に進出しており、関係をこじらせることは避けたいと考えても不思議ではない。

しかし、強制連行された中国人だけに限ってみても、被害者は約4万人、強制労働をさせていた日本企業は20社以上もあるといわれる。今回の和解は日本企業が関連する他の戦後補償問題にも大きな影響を与えることになりそうだ。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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