日産の北米戦略車、陰で泣いた部品メーカー 垂直立ち上げで勇み足

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自動車業界を突如襲った中国での反日不買運動。各社の販売動向は、徐々に落ち込み幅が縮まっているとはいうものの、いまだに深刻な影響が続いている。自動車業界では中国問題を主な要因として、2013年3月期9月中間決算(12年4~9月期)発表時点で、完成車メーカーや部品メーカーで業績見通しの引き下げが相次いだ。

一方、販売好調な「北米市場」をめぐって、業績悪化に追い込まれている陣営もいる。日産自動車向けを主力とする部品メーカーだ。

日産系の部品最大手で運転席部品や熱交換器などを手がけるカルソニックカンセイは、上期に北米で想定外の費用がかさみ赤字に転落、中国の影響もあって、従来の増益見通しから、一転営業減益に落ち込む。

内装部品を手がける河西工業も、北米事業が輸送費の増加などで第3四半期(12年4~12月期)までは赤字、第4四半期に改善を見込むものの、期初に公表した利益計画は半減となる。サスペンションが主力のヨロズも北米事業の費用増も重荷となって減益に下方修正した。

日産の生産体制が混乱

部品メーカーの北米事業が軒並み不調に陥ったのは、日産の生産体制が混乱したことが主因だ。日産は北米最量販車種の「アルティマ」を筆頭に、多数の新型車の生産を一気に立ち上げた。

とりわけ新型のアルティマは、クラス最高値の燃費を実現するなど前評判も高く、競合トップブランドのトヨタ自動車「カムリ」の追撃に加え、秋にホンダ「アコード」がモデルチェンジを控えていたことから、垂直立ち上げを目論んだ。

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