時代に負けない、キャリアの”背骨”の作り方 普遍性の高い、自分らしさを見つけよう

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

人間には環境適応力があるが、必要な能力が強化されるには、少なくとも3000年必要だという。そして現代は変化が速すぎて人間の進化のスピードがまったく追いついていない。

その結果現代人は、仕事ばかりして、使っていない機能が弱体化し、結果的に人間としての総合能力が劣ってしまう危険性をはらんでいる。

たとえば、事実と数字だけの頭脳仕事ばかりやっていると、感情脳が弱くなり、仕事だけでなく日常生活においてもキレやすくなってしまう。

また、観光業界の人から聞いたことだが、昨今パンフレットの料理の写真と実際の料理が1品でも違うとクレームが来るそうだ。観光船のパンフレットにクジラの写真を載せる際にも「見られないこともあります」と必ず念押しが必要だという。

ビジネスでは、約束や予定は守ることが前提となり、それを守らない者が責めを負う。しかし、人生やあるいは大自然と対峙すると、むしろ「ままならない」ことのほうが多い。こうした「ままならない」ことに耐性がない人は、自然相手であっても、「予定どおりじゃないと嫌だ」と言い出すようになる。

そしてそういう人はビジネスにおいても、ある日急に「想定外変化」が起こって、違う能力が必要になった場合、使いものにならないものだ。

つまり、逆説的だが、仕事ばかりがんばっても、仕事に必要な能力は身に付かないのだ。休日はアウトドアで遊ぶなど、自分の仕事で使わない能力は仕事以外の場で積極的に補填しないとまずい、と声を大にして言いたい。

ワークとライフは単に時間的なバランスではない。統合の問題である。ちゃんとライフを生きないと、ワーク自体もおぼつかなくなる。ライフのないワーク人生は今日成り立たないのだ。この点は、おせっかいな警鐘として加えておきたい。

(撮影:梅谷秀司)

 

 

 

 

 

 

高橋 俊介 慶應義塾大学 SFC研究所上席所員、キャリア論の第一人者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たかはし しゅんすけ / Shunsuke Takahashi

1954年東京都生まれ。東京大学工学部航空工学科を卒業後、日本国有鉄道に入社。プリンストン大学工学部修士課程を修了し、マッキンゼー・アンド・カンパニ-東京事務所に入社。1993年に世界有数の人事組織コンサルティング会社である米国ワイアットカンパニーの日本法人ワイアット株式会社(現ウイリス・タワーズワトソン)の代表取締役社長に就任。社長退任後は、個人事務所ピープルファクターコンサルティングを通じ、コンサルティング活動や講演活動、人材育成支援等を行う。2022年4月より慶應義塾大学 SFC研究所上席所員。キャリア形成、人材マネジメント、リーダーシップ、働き方改革などに確かな知見を有し、本質を見抜く目に定評がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事