米国は6月利上げでも、後が続かない 金融政策は通貨政策に収斂される
注目された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は27日午前、首脳宣言を採択し閉幕した。欧州外遊などを介して地ならしが進められていたG7各国における財政政策の協調については、慎重姿勢を示していたメルケル独首相やキャメロン英首相への配慮もあり、財政出動ではなく財政戦略という穏当な表現を使用するにとどまった。もとより歩調をそろえるのが難しいといわれていたこともあり、仙台G7や伊勢志摩サミットの結果を受けて為替市場が大きな反応を示すには至っていない。
むしろ、3週間程前まで1ドル=106~107円で推移していたドル円相場が110円近辺まで持ち直している背景としては、5月18日に発表された4月FOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨に反応している面が大きく、為替市場参加者はもっぱら目先の米国の利上げがあるかないかに目を奪われている。
息を吹き返した金融政策"正常化“プロセス
具体的に同議事要旨では、「多くの参加者は、今後明らかになるデータが、第2四半期(4~6月期)に経済成長が上向き、労働市場が引き続き力強さを増し、インフレが委員会の目標である2%に向けて進展している状況に一致すれば、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標のレンジを6月に引き上げるのが適切になりそうであると判断した」とされ、にわかに6月利上げを当て込んだドル買いが強まっている。
もちろん、「数人の参加者は、今後入手される情報が、6月中旬までにFF金利誘導目標を引き上げる十分なサインを提供しないかもしれないと懸念を示した」と慎重姿勢も見られる。その一方で「何人かの参加者は、6月会合で誘導目標レンジが引き上げられる確率を市場参加者は適切に評価していないかもしれない」という意見を述べたという。また、それと同じ「何人かの参加者(some participants)」は「経済・金融動向に対して委員会がどのように反応していくつもりなのかということに関し、会合と会合の間で明確なコミュニケーションを行うことの重要性を強調した」とも記されている。
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