米国は6月利上げでも、後が続かない 金融政策は通貨政策に収斂される

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これらの記述を非常にラフに言い直せば、「市場参加者は我々の利上げスタンスを見くびり過ぎている」ということになろうか。いずれにせよ、こうしたFOMCのムードが、4月以降に見られてきた一部のFRB(米連邦準備制度理事会)高官によるタカ派な情報発信の根源になってきたものと思われる。

議事要旨を受けて、それまで5%にも満たなかったFF金利先物に見る6月会合の利上げ織り込みは現状で30%台半ばまで高まっている。金融政策の正常化プロセスの続行とそれに伴うドル高相場を当て込む向きがにわかに増加していると読むべきだろう。

「通貨政策」と「ドル高のわな」がカギ

筆者の基本認識は「年内利上げは難しい(ゼロ回である)」というものであるが、この議事要旨を見る限り、6月利上げは行われても不思議ではない。しかし、6月に利上げをすれば、その後は、経済指標が悪化して、しばらく利上げはできないということになってくるだろう。それは、以下のような理由からである。

まず、一国の経済政策におけるポリシーミックスを考える際、しょせんは金融政策と通貨政策の方向は一致していなければならないという鉄則を思い返すべきである。

4月29日に米財務省が公表した『為替政策報告書』やこれに前後して見られた米国のルー財務長官の言動は明らかにドル高を忌避するものだった。ドルインデックスなどを見ても、過去2年におけるドル高相場の清算は始まったばかりという印象は拭えない。最近の製造業マインドの持ち直しなどは、明らかにこうした為替相場に応じた動きと考えられる。

ドル高の落ち着きとともに経済指標が落ち着いてくれば金融政策(FRB)における引き締め路線が息を吹き返してくるのは致し方ない。だが、通貨政策(財務省)における通貨安路線は経済動向のみならず国内政治情勢を汲み取った動きだったはずである。現状、両政策の方向性は矛盾しつつあるのではないか。

今年後半になれば、新しい米大統領の通貨政策に注目が集まろうが、クリントン氏になろうと、トランプ氏になろうと、ドル高をけん制する通貨安路線に大きな違いはありそうにない。新政権になった後、政策当局から積極的なアクション(関税・非関税障壁の引き上げ)があるとまでは予想しないが、2014年6月以降に見られてきた「孤高の正常化に応じたドル独歩高」が許容される可能性が高いとも思えない。

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