なぜ「酒の価格」に国が口出しをできるのか 安く売るための企業努力は無視?

拡大
縮小
酒の過度な安売りができないよう規制する法案が、今国会で成立する見通しだ(写真 :irodori / PIXTA)

量販店などで酒の過度な安売りができないよう規制する法案が、今国会で成立する見通しだ。酒税法を改正し、仕入れ価格を下回るような安売りを禁止。従わない場合は、50万円以下の罰金や酒類販売の免許取り消しなどの処分を科せるようにする。

大規模のスーパーや量販店では、酒の安売りが激化しており、「集客」を目的に、仕入れ値以下で販売することもある。こうした「行き過ぎ」を規制することで、中小の販売店を救済する狙いだ。

独禁法で「不当廉売」が禁止されている

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

酒の販売価格をめぐっては、国税庁が2006年に過度な安売りをやめるよう取引指針を出しているが、法的な強制力がなく、効果が限られていた。

一方、法案が可決すれば、酒の値上がりを招きかねないことから、ネットでは「安く売るための企業努力は無視?」「国が市場に介入しすぎ」といった批判的な意見が集まっている。

酒を仕入れ値より安く販売するのは、企業努力や戦略とは言えないのだろうか。どうして国が価格設定に口出しできるのだろうか。独占禁止法(独禁法)にくわしい籔内俊輔弁護士に聞いた。

次ページ本来、価格は自由に決められるのに…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT