なぜ「酒の価格」に国が口出しをできるのか 安く売るための企業努力は無視?

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「独禁法違反の不当廉売といえるためには、単に仕入価格を下回って売っているだけではなく、一定程度の継続性があり、ライバル企業の顧客を不当に奪って事業活動を困難にさせるおそれも必要とされています」

広く安売りを規制する狙いがある

「そのため、顧客の来店誘引のために、短期間に限って行われている仕入価格割れの安売りであれば、独禁法違反とまでは判断されない場合もあると思われます。改正法では、酒類に関する公正な取引の基準が定められることになっており、独禁法上問題となる不当廉売より、広く安売りを規制する狙いがあるのだと思います。

この基準の制定にあたっては公取委との協議を経なければならないとされていますので、過剰規制にならないように公取委の事前チェックは入る予定です。

ただし、公取委も行政機関ですので、立法機関である国会において、不当廉売の範囲より広く安売りを規制できるようにする趣旨の法律が成立すれば、その点も一定程度考慮したスタンスで協議に応じざるをえないかもしれません。本当にこうした安売り規制が必要かどうかについては、公取委も今後引き続き検証していくでしょうが、国民が一般消費者の観点からチェックしていく必要もあるでしょう」

籔内弁護士はこのように述べていた。

籔内 俊輔(やぶうち・しゅんすけ)弁護士
2001年神戸大学法学部卒業。02年神戸大学大学院法学政治学研究科博士課程前期課程修了。03年弁護士登録。06~09年公正取引委員会事務総局審査局勤務(独禁法違反事件等の審査・審判対応業務を担当)。
事務所名:弁護士法人北浜法律事務所東京事務所

 

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