マッキンゼー男とボスコン女、NPOを創る

新世代リーダー 小沼大地、松島由佳

自由の利かない企業の枠組みと、最適化・細分化された業務によって、入社時に持っていた「大きなことをしてやろう」「社会の役に立とう」といった志が小さくしぼんでしまっているように見えたのだ。

そのとき感じた悔しさが基になり、小沼さんは「コンパスポイント」を立ち上げた。これは、若手社会人が集うコミュニティで、さまざまな分野の先駆者を招き、熱く語らう場だ。

松島由佳(まつしま・ゆか)
クロスフィールズ理事
東京大学経済学部卒業。在学中、カンボジアの児童買春問題の解決を目指す、NPO法人かものはしプロジェクトのスタッフとして勤務し、現地視察型のプログラム開発などに従事。卒業後はボストン・コンサルティング・グループに勤務し、主に通信業界・消費財業界の企業経営をコンサルタントとして支援。勤務の傍ら、プロボノ活動としてNPO法人TABLE FOR TWO Internationalの新規事業立ち上げにも従事。NPOとビジネスの両方のバックグラウンドを活かし、クロスフィールズを共同創業。

そこに参加していたのが、松島さんだった。松島さんは当時、NPOなどで社会貢献に取り組む人が、社会のメインストリームから切り離されている現状に、もったいなさを感じていた。これが後にクロスフィールズを立ち上げる2人の出会いだ。

300人以上が参加し、現在も活動を続けるコンパスポイントのキャッチコピーは、「情熱の魔法瓶」。「暑苦しいですね」と照れ笑いする小沼さんだが、自身の想いや原体験をコンパスポイントへ、そして今はクロスフィールズへと着実に形にしている。

「僕はあらゆる方法で、会社に仕える『仕事』を、熱い志を持って価値を創り出す『志事』に変える人を増やしていきたいんです」(小沼さん)

では「留職」は、企業の社員にどんな変化をもたらすのだろうか。

「異文化の中で修羅場をくぐるような経験が、社員を変えるのだと思います」と松島さんは言う。社名も日本の常識も通用しない場所で、1人の人間として現場に飛び込み、言語も文化も違う人々とともに、プロジェクトを創り出す。そして、きちんと現場で結果を出す。「このような体験こそ真のグローバル人材を育てる」と2人は声を合わせる。

留職の現場で意識する必要があるのは、「本当に現地の人々のためになるのか?」ということだ。こうした感覚は、現地のNPOなどとともに働く中で嫌でも鍛えられる。また、所属によって役割が細分化されている日本の企業内と違い、派遣先ではゼロからすべてをこなさなくてはならない。これに立ち向かい、乗り越えることが、仕事を通じて社会に役立つ喜びを得る「原体験」となる。

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