化粧品の口コミサイト、なぜ人気に? 若い女性を惹きつけるアットコスメ
大手メーカーも従来のやり方を転換。資生堂は今年4月、これまで参入を拒み続けて来たネット通販に乗りだした。80~90年代、同社の全盛期を支えた化粧品専門店は、まさにカウンセリング販売を主体とするチャネルだったが、女性の“脱カウンセリング志向”が強まる中、苦渋の決断を下した。ネット通販と同時に美容コンテンツの配信や、オンラインカメラを使った美容部員カウンセリングも展開。ネットでの露出を拡大し、国内売り上げ縮小に歯止めを掛けようと邁進している。
化粧品業界の革命児として、小売り、メーカーの古い慣習を突き崩してきたアイスタイル。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)出身で、1999年にアイスタイルを創業した吉松徹郎社長に聞いた。
――アイスタイル創業のきっかけは?
今は「アットコスメ」というサイトが前面に出ていますが、初めからこれをやろうと思って立ち上げた会社ではありません。もともとは、「どうやったらメーカー横断的な購買データを集められるか」と考えたところからスタートしました。
本当に欲しいのは他社製品を買った顧客の情報
例えば化粧品メーカー最大手の資生堂は自分たちの会社の化粧品を買ったお客さんのデータを持っているけど、本当はカネボウの化粧品を買ったお客さんに「なんでカネボウを買ったのか?なんでうちの商品じゃなかったの?」ということを聞きたいはず。そうじゃないと顧客基盤は厚くならない。カネボウの顧客データはどこにあるかというと、もちろんカネボウが持っている。だからといって資生堂がカネボウに訪ねて行って「顧客データを貸して!」とは言えないですよね。
CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)の限界はまさにそこにあって、自社の顧客データしか持てない。だからメーカーが本当に欲している、メーカー横断的な顧客データをなんとか取れないかと考えました。それで、「口コミ」なら使ったことのある人が書き込むから、擬似的なPOS(Point of Sales=販売時点)データとして使えるんじゃないかと思いました。それが、化粧品口コミサイトのアットコスメを立ち上げたきっかけです。