寝たきり防げ!骨粗鬆症は「つくって」治す 旭化成の新薬が大ヒット
骨が弱って骨折しやすくなる病気である「骨粗鬆症」(こつそしょうしょう)。すぐには命にかかわらないが、放置しておくととても怖い病気だ。進行すると、体重で背骨が潰れる圧迫骨折や太ももの付け根の大腿骨の骨折などにつながる。大腿骨を折ると寝たきりになってしまう。
この治療現場に、静かな変化が起きている。
「しっかり歩けるようになった」「痛みが取れた」――。骨粗鬆症の症状が、目に見えて改善する事例が相次いでいる。昨年秋に旭化成ファーマが発売した新薬「テリボン」(=写真左=)の投与を始めた患者からの声だ。
「極端な例では『(骨粗鬆症による大腿部などの骨折が原因で)寝たきり状態になった人が座れるようになった』という話も聞く」。旭化成ファーマの杉本智志・骨領域プロジェクト企画グループ長は言う。
1年で発売時の想定ピークを超過
この「テリボン」が、骨粗鬆症治療の現場で大ヒットしている。旭化成は昨年秋の発売を前にピーク時の販売金額を年間156億円と設定した。ところが、2013年3月期の9月中間決算を終えて、旭化成はテリボンの今期販売計画を170億円と、それまでの同141億円から大きく上積みした。
発売からわずか1年でピーク時の目標金額を早くも超えてしまったことになる。想定以上の売れ行きであり、旭化成が投入した新薬でここまでヒットした例は過去にほとんど例がない。
「PTH」(副甲状腺ホルモン製剤)とも呼ばれる「テリボン」がヒットしているのは、従来の骨粗鬆症薬では得られなかった薬効が評価されているためだ。