日本郵政、「最低決算」からの復活時期は? 利益は2期連続減少、高配当は維持されるか

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ゆうちょ銀行は今期、日本銀行の当座預金にマイナス金利が導入された影響で、年間200億円程度の利息費用の負担が見込まれている。さらに国債利回りが低下していることも利益を下押しする。204兆円のゆうちょ銀行の運用資産のうち、国債が82兆円にのぼり4割を占めている(2016年3月期末時点)。現在1~10年国債金利がマイナスになっており、利息収入の低下は免れない。

対応策として、相対的に利回りが良い外国証券の運用を増やすほか、貯金金利の引き下げなどを進めているが、それでも利益の大幅減少は避けられない見込みだ。経常利益は4200億円(12.8%減)、純利益は3000億円(7.7%減)を計画している。

日本郵政への利益貢献はわずかながら、改善基調にあった日本郵便も今期は減益になる。EC市場の拡大などで取扱物数は底堅いものの、年金保険料率の引き上げや外形標準課税の拡大、さらに期間雇用社員の単価引き上げなど、外部要因によるコスト増が見込まれるためだ。経常利益は270億円(36.1%減)、純利益は120億円(74.5%減)を想定している。

配当性向は50%以上がメド

株主還元について、前期は上場後期末配当基準日までの期間が6カ月未満だったことから、日本郵政では期末の25円配のみだったが、今期から中間配を実施し、中間期末で25円ずつ、通期50円の配当を予定している。配当性向は2018年3月期まで連結配当性向50%以上を目安にしている。今期は純利益が減益となり配当性向は64%まで上がるが、配当額は実質維持する格好だ。

今年4月に社長に就任した長門氏。投資家の期待に応えられるか(撮影:尾形文繁)

日本郵政は2018年3月期の純利益4500億円を目標に据えている。昨年11月の上場時、高配当銘柄として注目を集めただけに、配当に直結する純利益の早期の利益回復への投資家の期待は大きい。もっとも今期は減益となるが、来期以降は回復を予想する向きもある。

かんぽ生命では経常利益の足かせになってきた旧区分の保険料減少が来期、再来期にも一服、いよいよ経常利益が復調するとの見方が出ている。マイナス金利で厳しい決算のゆうちょ銀行も為替評価益が見込める外国証券の償還などで、来期は持ち直すとの見通しが出ている。

日本郵政の長門正貢社長は、「為替益が2017年度(2018年3月期)から出始め、純利益4500億円達成に向け大きなサポートになる」と話す。黒字とはいえ低水準が続いている日本郵便の抜本的なテコ入れ策はまだ見えないながら、利益貢献度の大きい2社が今期を底に業績回復を達成できるかに注目だ。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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