論理バカと現場バカ

ロジックと現場主義の使い分け方

ともかく、そういう意味でコンサルタント出身者はファクトとロジックの共通言語の中で生きています。そしてその先に経営の道を志す人もそれなりにいます。私も広い意味では経営していると言えなくもないので、時々そういう仲間と意見交換をします。そうすると、大抵の人がこれに近いことを言います。

「これまでロジックの中で生きていたけれど、経営は理屈ではできない。やっぱり大事なのは現場だ」

また、コンサル時代にお客様のインタビューをしていた時、(自分の能力不足を棚に上げて言うと)あるアンチコンサルの方から「コンサルは頭でっかちで現場感がない」という趣旨のことを言われたこともあります。

で、今は実際に「現場」に出ています。平日は会津に常駐し、職場の仲間と文字どおり同じ釜の飯を食い、寝食を共にします。朝は一緒に朝礼をしてラジオ体操をして、トラブルが起きたら謝罪に行って、業者とは交渉して、要するに喜怒哀楽を共有します。社外の知人・友人もいつの間にかずいぶん増えました。

その中で感じたこと。確かに「現場が大事」だとは思います。でも現場だけにいて現場感を得て、それだけで何事かを成し遂げられるかというとそうも思いません。

コスト削減には、論理が有効

むしろなんでも「現場」を強調して、論理や戦略を軽視するのは逆に思考停止とも思います。現場主義は聞こえがよくて、組織の上位層に「王様は裸だ」と言いたい場合には鉄板ワードで、正面から否定しにくい空気にもなりますが、それほど単純なものではありません。

たとえば会社の利益を上げたいとします(利益拡大はステークホルダーが誰であれ、普遍的に共通するでしょう)。そのためにはコストを下げるか売上高を上げるかどちらかしかありません。これは当たり前すぎる算数ですが、論理です。

前者のコスト削減の場合、全体のコストを人件費・燃料費・修繕費と費目別に漏れもダブりもなく分解します。これも論理です。

そのうえで費目の大小や過去からのトレンド、他社とのベンチマークなどで特定費目の過剰感や落とした時のインパクトの大小を把握します。同じく論理です。

そして費目にあたりをつけたら、どう費用を落とすかを考えます。落とし方には自社の使い方を変えるか、他社への払い方の変えるかの2つしかありません。他社への払い方を変えるには、相手を変えるか単価を下げるかしかありません。まさしく論理です。

そこから先は、交渉なども入るでしょうからややこしくなりますが、いずれにしてもここまで見てきたように、コスト削減では論理的なアプローチが支配的です。

次ページヒントは喜怒哀楽の中にある
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